令和02年06月01日
ここ数年、雑誌やテレビでよく耳にする“ピロリ菌”。みなさんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。日本でのピロリ菌の感染者数は、約6,000万人と言われており、日本人の胃がんの9割以上が“ピロリ菌”が原因によるものとも言われています。
◆他の菌は生きていけない胃の中に、ピロリ菌はすみつづける!
そもそも、“ピロリ菌”について詳しくご存じですか?
胃の中は、食べ物の消化や菌の殺菌を行うために、強い酸性に保たれており、通常の菌は生息できません。しかしピロリ菌は、胃の粘膜にすみ続けることができてしまうのです。大人になってからの感染はほぼないと言われており、乳幼児期から幼児期にかけて、免疫力が十分に発達していない時期に、口から食べ物や飲み物などと一緒に摂取してしまい、感染してしまうケースが大半です。
また、「ピロリ菌に感染したら必ず潰瘍や胃がんを発症する」というわけではありませんが、感染した多くのひとに胃の炎症が生じます。ピロリ菌は一度感染すると、除菌しない限り胃の中にすみ続けると言われています。感染した状態が長く続くと、萎縮性胃炎などの慢性胃炎に進行し、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を引き起こします。そこに、喫煙やストレス、塩分の多い食事などの生活習慣も重なり、胃がんの発症リスクを高めてしまうというわけです。
◆ピロリ菌の検査方法
ピロリ菌に感染しているかどうかの検査方法としては大きく分けて2種類あります。
① 内視鏡を使って検査する方法
胃の粘膜の組織を採取し、検査をする方法です。
② 内視鏡を使わずに検査する方法
・尿素呼気試験法(検査用の錠剤を内服後、呼気を採取して行う方法)
・便中ピロリ抗原測定法(便を採取して行う方法)
・ピロリ抗体測定法(血液検査や尿検査で抗体を測定する方法)
◆もし、“ピロリ菌”に感染していることがわかったら・・・
ご自身の胃を守るためにも、除菌をすることが大切です。1週間程度の服薬治療で、約7割以上の方が除菌に成功すると報告されています。また、1次除菌で成功しなかった場合でも、2次除菌を行うことで、全体の約9割の方が除菌に成功すると言われています。除菌をすることで、胃がんのリスクを下げるだけでなく、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発リスクを下げることもできます。
胃の不調を感じる場合は、放置せずに、お近くの医療機関等へお早目にご相談くださいね。