平成31年03月14日
こんにちは。保健師の荒尾です。
みなさん、「時間栄養学」という言葉を聞かれたことはありませんか?
同じ食事でも食べる時間や、速さ、順番、内容によって、栄養の効果は変わってきます。
「何をどれだけどのように」に加えて「いつ」食べるのかを考えるのが「時間栄養学」です。
「そんなに食べてないのに、なんで太るのだろう?」といった言葉を聞くことがあります。
このような場合のポイントは、まさに「時間栄養学」なのではないでしょうか。
「いつ(時間)」をほんの少し意識した食事を心がけるだけで、体調や体重などに何かしら変化が
現れると言われています。今回はそんな「時間」を意識した食事についてご紹介させていただきます。
① 体内時計のリセット 私たちの体の中には体内時計が備わっています。活動と睡眠そして食事で 健康的な生活を維持しながら1日24時間というルールで生活を送っていますが、 実は体内時計は約25時間周期と言われています。放っておくと少しずつリズムが ずれてきます。そのため1日の周期の24時間に合わせるために体内時計を毎日 リセットする必要があります。 リセットする方法は、2つ。毎朝決まった時間にカーテンを開け「朝日」を 浴びること、そして「バランスの良い朝食」を食べることです。朝日を浴びることで 脳の時計が調整され、そこに朝食を食べることで肝臓・腸などの臓器の時計が 一気にリセットされます。食事は全身の体内時計の時刻決定因子として働いており、 食事をいつ食べたかを目安にして活動期と休息期が決定しているのだそうです。 もし、朝食を食べないと体が25時間周期のままとなり、1日24時間という ルールの生活と体内時計とのずれが生じて、結果体調を崩すことになるとも 言われています。 要は毎朝、「朝日」と「バランスの良い朝食」で1日のスタートを全身に伝える ことが大切なのです。
|
② 食事時間によるエネルギー代謝の違い マウスに高脂肪食を与え、Ⓐいつでも好きな時間に食べられる群、Ⓑ活動期の8時間のみに制限 して与えた群 に分けた場合、1日当たりの食事量は同じでも、Ⓐは典型的なメタボになり、Ⓑは ほとんどメタボにならなかったというような研究結果があります。 大事なのは、同じ量の食事であっても「いつ食べるか」の時間帯によってエネルギー代謝に与える 影響が異なるということです。だらだら食べは要注意ですね。 |
③ 夕食の時間は、朝食から12時間以内に 夕食から翌朝までの約12時間絶食時間をつくると太りにくく、ぐっすり眠れる と言われています。それをもとに残りの時間を考えると、朝食から夕食までの時間は 12時間以内にするのが理想的となります。起床時間から1時間以内の朝食。 その朝食時間を基準に夕食時間を決めてみましょう。 例)朝7時に起床 8時に朝食なら 20時までに夕食を食べる。
|
④ 夕食の量を少し変えるだけでも ある20~50代の男女約1,000人の食事調査によると、1日の食事のエネルギー摂取量を10と すると、朝食:昼食:夕食のバランスは2:3:5だったようです。協会けんぽ鳥取支部による 保健指導の場面のアンケートでもこのような傾向があります。夕食をしっかり食べるという習慣は どのお宅も一緒ですね。でも、私たちの体は、夕食の時間帯に食べた物を脂肪として蓄えるように なっています。ということは、この根強い夕食しっかり派は太りやすく、また食べた物を消化するのに 時間がかかり体内時計が乱れ、夜型になってしまいます。せめて朝食:昼食:夕食=3:3:4を目標に。
|
⑤ 間食も食べる時間しだい 甘いものなどの間食を楽しみにされている方も少なくないと思います。間食をとるのに 適した時間はというと、BMAL1(ビーマルワン)の分泌が少ない午後3時前後と 言われています。BMAL1は体内に存在するたんぱく質で脂肪合成を促進する働きが あり、午後4時以降には増加していくので、もしそれ以降に間食されるなら要注意です。 |
|
「内容」「量」に「時間」を加えたこの3つを意識した食事を心がけ、より健康な体をつくっていきましょう。
この春から、まずは食生活を見直してみませんか?