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北海道支部

2024年4月 北海道医師会 「月経や更年期にまつわる症状とその対処法」


はじめに
厚生労働省は、毎年3月1日から3月8日までを「女性の健康週間」と定め、女性の健康づくりを国民運動として展開しています。今回の『健康コラム』では女性のQOLに焦点を当て、多様化するライフスタイルやキャリアを有する女性が、活き活きと健やかに過ごすために知っておいてほしい、月経困難症をはじめとする月経随伴症状ならびに、更年期に起こりやすい症状の実際と対策について考えてみたいと思います。

【月経随伴症状】
 現代の女性は、初経の低年齢化や出産回数の減少、生活習慣の欧米化などにより、生涯の月経回数は約450回と増加しています。それに伴い、月経随伴症や子宮内膜症など婦人科特有の疾患も増加し、74%の女性は、月経困難症、過多月経、月経前症候群(PMS)などの何らかの月経随伴症状を有すると報告されています。
月経困難症は、子宮内膜症などが原因で起こる器質性月経困難症と、特定の疾患のない機能性月経困難症に分けることができます。若年に多くみられる機能性月経困難症は、子宮筋の過剰収縮が原因とされています。一方、器質性月経困難症の原因としては、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などが挙げられます。特に、近年増加している子宮内膜症は、月経困難症だけではなく、排便痛や性交痛などの症状を伴い、不妊症や産科合併症など様々な病態を引き起こすため、早期からの介入が望ましい疾患です。
経産省の報告では、月経随伴症による1年間の社会経済負担は6800億円を超えると試算され、中でも労働損失はその内の71.9%である4,911億円に上ります。また、中高生においても、月経困難症をはじめとする月経随伴症状は学校欠席回数、学業成績、日常生活のQOLなどに影響すると報告されています。
月経随伴症状、子宮内膜症の治療には低用量エストロゲンプロゲスチン製剤(LEP)が有効です。近年では月経回数を低減する連続投与や自分の予定に合わせて自由に月経をコントロールするフレックス投与も選択できます。
また、貧血を指摘される性成熟期の女性の約6割は過多月経を有するといわれています。過多月経には、何らかの疾患が隠れている可能性があり、月経量が多い、塊が出るなどの症状があれば、婦人科受診をお勧めします。
近年、PMSに悩んでいる女性も増加しています。PMS予防・症状改善のための生活習慣としては、適度な運動、禁煙、ビタミンB群やビタミンD、鉄分、カルシウムを含む適切な食事の他、最近ではVit Eの一種であるγトコ製剤などのサプリの有用性も示されるようになってきました。

【更年期・更年期障害について】
閉経を中心とした前5年、後5年を合わせた10年間を更年期といいます。更年期症状は『更年期に現れる多種多様な症状の中で、器質的変化に起因しない症状』、更年期障害は『更年期症状の中で日常生活に支障を来す病態』と定義されます。つまり、ホットフラッシュが出現しても、日常生活に支障が無ければ更年期症状ではありますが、障害ではありません。また、月経困難症や過多月経に悩んでいた女性にとっては、閉経は福音になりうるかもしれません。
本邦では、女性の57%が更年期症状を経験し22%が更年期障害を経験すると報告されています。更年期に出現する症状としてはホットフラッシュが有名ですが、実は日本人では、疲れやすい、肩こりなどの症状が多く認められます。
更年期障害の要因の主たるものは、卵巣機能の低下ですが、様々な心理・社会的影響や、元々の身体的・体格的素因が加わって、症状が出現します。特に更年期には、子供の自立や夫婦関係の問題、介護、親しい人の病気の受容を余儀なくされることが多く、心理・社会的に不安定で、ストレスを受けやすい時期といえます。更年期障害により、仕事のパフォーマンスが低下することが知られており、3人に1人以上が更年期障害で仕事を辞めようと思ったことがあり、3人に2人以上が昇進辞退を検討したことがあると報告されています。
 一般に更年期外来では、問診、診断・総合的評価、鑑別診断を行ったのち、治療を開始します。治療は、患者さんの希望や症状により、ホルモン補充療法(Hormone Replacement Therapy:HRT)、漢方、向精神薬などの薬物療法や、心理療法(カウンセリング、認知行動療法)、食事・運動療法などを行います。HRTは、ホットフラッシュ、気持ちの落ち込みなどの更年期症状や、骨粗鬆症の治療・予防などに効果があります。その他、自己での対処法としてはエクオールなどのサプリメントも有効です。
更年期症状・更年期障害に対しては、自分に合った適切な医療を利用することが重要ですが、更年期は変化のプロセスであると理解すること、また、何よりも、閉経以降40年の人生を見据えた、持続可能な生活習慣の改善、自分で自分をいたわるセルフケアが必要となります。

【まとめ】
月経随伴症状、更年期障害は、個々人のみならず、女性を取り巻く社会全体に影響を与えうる病態です。女性のQOLの維持・向上のために、個々人の背景を考慮しつつ、社会全体として、女性の一生を通じた健康管理を行うことが極めて重要です。
 そのためには、ぜひ、月経は仕方がないもの、更年期症状は我慢するものと思い込まないで、気軽に産婦人科にご相談ください。生活が少し楽になる、辛さが軽減できる方法が見つかるかもしれません。

(寺本 瑞絵)


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