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徳本氏:第1回 「肝臓 -沈黙の臓器-」

 肝臓はよく「沈黙の臓器」と呼ばれます。 
 確かに、肝臓は静かに、がまん強く、一日中働き続けています。
 肝臓の仕事はたくさんあります。1つは栄養工場としての働きです。食事をして腸から吸収した栄養素は肝臓に直接送られてきますので、加工して肝臓内に保存したり、血液を介して全身に供給する役目があります。2つめは解毒です。お酒のような有害な物質を肝臓内で処理して、無毒化していきます。他にも胆汁を作って胆嚢や腸に流したり、ビリルビン(黄疸のもと)を加工したり、胆汁の中に流したりします。

 肝臓の調子が悪くなったときの症状はどのようなものでしょうか?
 急性肝炎でも、慢性肝炎や初期の肝硬変でも、ほとんどの人に自覚症状はありません。
 自覚したとしても、「なんとなくしんどい」、「咳や鼻水もないのにかぜっぽい症状が続く」、「食欲がおちた」といった程度です。もし、肝臓が原因でこのような症状がでている場合には入院が必要なことがあります。

 どうすれば肝臓の調子をみることができるのでしょうか?
 症状では肝臓の力をみることはできないため、血液検査を行って判断しないといけません。健康診断では肝機能検査として、「AST(GOT)」、「ALT(GPT)」、「γ-GTP」の3項目が含まれています。
 しかし、検査結果を見る上で注意点がいくつかあります。
 1つは、これらの検査は、血液検査を行った時点の「肝臓が悪くなっていくスピード」を表していること。2つめは、慢性肝炎の人でも、たまたま検査の時が落ち着いていると、異常値にならないことがあること。3つめは、「肝臓の予備力がどれだけ残っているか」はこれらの検査では分からないこと。最後に、これだけでは肝臓の数値があがっている原因が分からないことです。
 これらの問題をクリアするために、検査を繰り返し受けることや、異常があれば受診すること、オプションの血液検査(HBs抗原、HCV抗体)を測定して、「B型、C型肝炎ウイルス」に感染しているか検査してみることが重要です。

 肝臓はまさに「沈黙の臓器」です。
 気がつくと、もう手遅れの状態だったということがないように、健康診断を必ず受けて、異常があれば受診しましょう。また、ウイルス肝炎の検査は一生に1回で構いませんので、受けることを是非おすすめします。

愛媛大学医学部附属病院 講師                                           肝疾患診療相談センター 副センター長                                        徳本 良雄氏

 


 

徳本良雄(とくもとよしお)先生の略歴はこちらのページでご覧いただけます。