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櫃本氏:第7回「患者を医療チームの一員に」

第7回「患者を医療チームの一員に」

愛媛大学医学部附属病院医療福祉支援センター長

櫃本 真聿氏

 

 医療チームと言えば、医師を中心とした多様な医療者間の連携を連想するでしょう。最近では患者さんを中心において、周りをいろいろな医療者が囲み全ての矢印が住民の方へ向く図で 患者主役の医療体制の在り方が説明されています。しかし医療者と患者との信頼関係や互いのコミュニケーションが強調される時代の中にあっては、思い切って患者自身が医療チームの一員として参画し、同じ目的の実現に向けて協働するといった考え方はどうでしょうか。

 医療チームが患者に「してあげる」から「支援する」へと発想が変化し、患者と共に「患者ニーズ(わがままではなく本当に望んでいること)を実現する」といった意識改革を期待しています。患者を医療チームと区別せず、目的を共有した同じ仲間とすることが“早道”だと思います。サービスの提供者とそれを受ける側といった関係を超えて、目的達成のための同志と位置づけることにより、患者自らの選択や安心は確保され、そのことによる患者満足度は向上するにちがいありません。患者を含めた医療チームというこのとらえ方は、事故防止を目的とした安全対策マニュアルや、注意喚起等の医療者側に限定した医療安全対策を見直し、より快適な医療環境作りを患者とともに構築するという観点からも極めて有効だと考えます。

 患者が医療チームの一員となるための環境をどう整備していけばいいのか。以下に、いくつかのポイントを列挙しました。いかがでしょうか?医療者や行政だけでなく、やはり住民・患者自身が努力しなければなりません。

1)自己健康管理の重要性や命の尊さなど保健・医療・福祉に関する知識を身につけ、健康や疾病・障害と主体的に向き合える力を養える学校教育や社会教育を進める。

2)患者側の真のニーズを明確にし、日頃から患者自身が自分の意志を声に出せるような患者力を育てると共に、その声が医療に反映される環境をつくる。

3)健康な時から住民が医療機関と接点を持てる環境をつくる。例;①医療ボランティアの受け入れ、②地元住民向けセミナーの開催、③多様な住民の相談に対応できる窓口の設置、④医療施設内に住民の集まりやすい場所を設ける等。

4)入院当初に、診断治療だけでなく退院やその後の生活などについて、医療者と患者が十分話し合う場や機会を設ける。

5)入院早期から、退院後に関わる院外関係者とともに話し合う機会を設ける。患者の状態やニーズを共有し,経過を継続的に観察できる体制を構築する。

6)患者は最も鋭いアンテナを持った医療チームの一員との観点から、患者会を充実し、ピアカウンセリング(患者同士の相談)として他の患者支援に関わるとともに、安心して地域で医療やケアが受けられる環境整備に協力する。

 


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