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櫃本氏:第11回「おらがまちの病院づくり ~医療ボランティアの勧め~」

第11回「おらがまちの病院づくり~医療ボランティアの勧め~」

愛媛大学医学部附属病院医療福祉支援センター長

櫃本 真聿氏

 

 超高齢社会を生き抜くには、医療を生活資源とする取り組みが重要だと申し上げてきました。検査や服薬など疾病管理の折に、あるいは突然の病に倒れた際に、普段は生活と隔離された病院にその時だけ委ねるのではなく、地域で自分らしく生活するために、日常の延長線上に医療資源が活用されるような、住民意識の醸成が必要だと痛感しています。

 また、医療で地域を活性化する、つまり医療が参画することによって、地域が潤う・活性化するといった、“生活医療”を必要条件とした地域づくりが重要だと思います。 “おらがまちの病院”づくりが、医療崩壊からの回復と今後の地域活性化のキーワードとなると思います。

 これからの病院づくりは、患者のためだけでなく、治療の必要性のない時から、健康の是非にかかわらず誰もが訪れやすく、自分らしく生きていくための生活資源となることが大切です。入院関連以外の医療施設は、地域とのコミュニケーションを図る場として、快適な環境に整備されることが期待されます。

 愛媛大学病院では、医療ボランティアの養成と協働に力を入れており、全国でも最も多い会員数約230名の“いきいき会”が院内外で活躍されています。患者さんの送迎や相談支援、イベント開催や病院づくりに取り組んでいただいています。また、医療コンシェルジュ(事務職および看護職等)の導入を県下に先駆けて行っており、“おもてなし”の姿勢を重視しています。さらに図書室の充実を図り、ボランティアと看護師等職員が協力して、気軽で身近な相談ができる場所、健康に関心が持てる機会づくりに努めています。病院レストラン・喫茶・売店(手作りパン屋さん)などの充実により、病院内にも地域住民が立ち寄る生活モールの整備を進めています。地元の老人会のご協力を得て、病院敷地内の樹木や草花の管理を行っていただいています。将来的には住民の安らぎの場となる散歩コースも設けたいと考えています。中越地震の経験をもとに、被災地域自体に災害に対応できる住民の確保が必要との観点から、災害ボランティアの養成を地元行政とともに行っており、約200名がすでに養成され、自主的な防災訓練を行うなど被災自立組織の醸成につながっています。

 このように病院が地域の資源として参画する方法は様々ですが、患者や家族はもちろんのこと、医療ボランティアや地元行政、医療福祉関係者そして広く地域住民と共に、病院を育てていくという姿勢が大切です。中でも医療ボランティアは、医療者の手助けや肩代わりをするのではなく、患者・住民が医療者との距離を近づけ、また医療者に対しても適切な情報提供やアドバイスを提供できる重要なパートナーとなると期待しています。皆さんも医療ボランティアになりませんか?

 


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