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肝炎ウイルス検査を実施していますか!(事業主、衛生管理者及び健康保険委員の皆様へ)

 労働衛生対策の基本として、「労働衛生の3管理」といわれる「作業環境管理」「作業管理」「健康管理」がありますが、その中の「健康管理」として健康診断を行うことが必要になります。
 健康診断の主な目的は、労働者の健康状態を把握し、健康障害の早期発見やその改善のための保健指導、事後措置として就業上の配慮の実施などが該当します。労働者がその仕事をしてもよいかどうか、要休業及び労働時間の短縮など就業適正の判断が大変重要となります。
 B型、C型肝炎に感染している人に対する就業上の配慮は一般的には必要はないため、「事業者による健康診断」や「保険者による特定健診」の必須項目にウイルス肝炎検査は含まれていません。しかし、肝炎ウイルスに感染していても無症状の人が多く、感染したまま放置していると、肝硬変や肝がんを発症する危険性が高くなってきます。この段階から治療を行っても、なかなか進行を抑えることが難しく、就業上の配慮が必要になったり、予期しない入院などが発生する可能性がでてきます。

 また、ここ数年「健康経営」という言葉をよく耳にするようになってきました。これには、労働者の健康を維持することで、将来の「休業損失」を抑制するという考え方があります。この観点をウイルス肝炎に当てはめると、より早期に肝炎ウイルスに感染しているか明らかにし、感染している方(陽性の方)に対して積極的に治療を行えるような環境を整備することになります。
 B型、C型肝炎の治療法はどんどん改良されており、インターフェロン治療でよくあった長期間の就業制限はほとんど必要なくなっています。「肝炎であることを知ってしまうと配慮しないといけない」と聞くこともありますが、これからは積極的に労働者に対して治療を促す方が事業所にとってもよいのではないでしょうか。

 「肝機能検査で肝臓が悪いか分かるだろう」という声を耳にしますが、肝機能検査は様々な原因による肝臓障害の指標であるため肝炎ウイルスの感染は分かりません。肝炎ウイルスは血液で簡単に測定でき、基本的には一生に一度で構いません。健康診断の時に他の血液検査と一緒に測定することもできますし、保健所や委託医療機関でも無料検査を行っています。また、健康診断の必須項目ではありませんので、事業主の皆様など雇用側が肝炎ウイルス検査の結果を把握する必要は全くありません。
 ウイルス性肝炎は、早期に発見し、早期に治療を受けることが大切ですので、従業員の方々が早期に感染を自覚し、早期に治療を受けることができるよう、事業主の皆様のご理解、ご協力をお願いいたします。

 

≪ 肝炎ウイルスと肝がん ≫

○ 肝炎ウイルスに感染している可能性は、すべての人にあります。

○ 感染の有無は、検査を受けないと分かりません。

○ 肝がんの原因の約8割を、B型・C型肝炎ウイルスが占めています。

○ 感染は、血液により起こります。

  また、握手や咳、食器の共有など日常生活において感染することはありません。

 

≪ 肝炎ウイルス検査 ≫

○ 検査方法は、簡単な採血のみです。

  また、定期健康診断などの追加項目として実施することができます。

○ 検査結果を本人以外が把握する必要はありません。

○ 他の健診項目とは違い、毎年検査を受けていただく必要はありません。

○ 検査結果が、陽性だった場合は、医療機関で必ず受診しましょう。

  また、インターフェロン治療や核酸アナログ製剤など治療を受ける場合には、医療費助成制度

  があります。

 

監修 愛媛大学医学部附属病院

   徳本 良雄 先生

 

≪ 参考 ≫

 職域におけるウイルス性肝炎対策に関する協力の要請について

(厚生労働省 平成23年健発0728第1号)

1.労働者に対して、肝炎ウイルス検査を受けることの意義を周知し、検査の受診を呼びかけること。

2.労働者が検査の受診を希望する場合には、受診機会拡大の観点からの特段の配慮をすること。

3.本人の同意なく本人以外の者が不用意に検査受診の有無や結果などを知ることのないよう、

  プライバシー保護に十分配慮すること。

4.肝炎治療のための入院・通院や副作用等で就労できない労働者に対して、休暇の付与等、特段の

  配慮をすること。

5.職場や採用選考時において、肝炎の患者・感染者が差別を受けることのないよう、正しい知識の

  普及を図ること。