花火を楽しむ家族 

こんにちは。
全国健康保険協会船員保険部です。

先月は30℃を超える日も多くありました。
高温多湿の日が増えてきています。
このような環境下では、熱中症が発生しやすくなります。

今月号では『熱中症の予防法』を掲載しております。
家庭、勤務先など各所で節電に取り組み、暑さに耐えている方も少なくないかと思います。
熱中症にかからないよう、十分ご注意ください。

 

7月

目次

  1. 飯田橋だより
  2. 東日本大震災に被災された方の保険給付の支給について
  3. 熱中症にご注意ください
  4. 生活習慣病とその予防(第12回)

船員保険マンスリーのバックナンバーはこちら

  


 

1.飯田橋だより

団扇

 

飯田橋だより(7月号)

 

 「海の月間」の7月に入りました。梅雨が明け、夏本番を迎えるのも間もないことと思いますが、今年は職場や家庭での節電の取組みの中での夏ということで、いつもの年とは違う厳しい暑さを実感しておられる方も多いのではないでしょうか。

 大震災発生から百日以上が経過しました。被災地では復興に向けた力強い歩みが始まっている一方で、がれきの撤去も進まず復旧にもほど遠い厳しい現実があるものと思います。

 医療保険の分野では、被災者の方に対する医療機関での窓口負担の取扱いが今月から変わり、一部負担金等の免除を受けていただくためには、保険者が発行する免除証明書を提示していただくことになったため、船員保険においても先月初めから被災者の皆様からの申請を受け免除証明書の発行を行っています。6月中に3千名を超える加入者の皆様に免除証明書を発行しましたが、これから厳しい夏を迎える中、このように多くの船員保険の加入者の皆様が自宅の全半壊や原発事故での避難などの厳しい生活を送っておられることに胸が痛みます。震災対応の関係では、免除証明書の発行のほか既に支払われた一部負担金等の還付の処理などもありますが、1件1件迅速かつ丁寧に処理を進めていきたいと思います。ご不明な点は、どうぞお気軽に船員保険フリーコールにお問い合わせください。
 

 今回のような大震災が発生すると、日本という国や日本人ということをいつもより強く意識するように感じますが、先日、日本の国家である「君が代」のメロディー誕生にまつわる興味深い記述を目にしました。

 現代に生きる私たちは、ドレミファソラシドという西洋生まれの音階に小さい頃から慣れ親しんでいますが、江戸時代までの日本の音楽はまったく別の音階で歌われており、ファとシを抜いた五音音階で、個々の音の高さも微妙に揺れるものだったため、明治時代の日本人は、西洋の音楽にかなり戸惑ったようです。もともと国歌は近代西洋で生まれ、軍楽隊が演奏するといった外交儀礼上欠かせないものとなっており、国歌誕生の直接の契機もイギリスやフランスの軍楽隊の進言だったという説が有力ですが、現在の君が代の曲に決まるまでには紆余曲折があったとのこと。いくつもの君が代の曲が作られ、演奏もされていましたが、最終的に生き残ったのは、当時の海軍軍楽教師だったドイツ人フランツ・エッケルトが日本人の協力を得て作った曲でした。当時の日本人が違和感なく歌うことができ、かつ、西洋列強からも国歌として認知してもらえるという難しい課題の両立に随分と腐心されたようです。ちなみに、法律で決まっている君が代の音階にはファの音は含まれていませんし、多分雅楽で演奏するとしっくりくるメロディーなのではないでしょうか。これまで、単純明快でとても印象的な国旗の日の丸に比べ、何となく国歌の君が代が歌いにくく爽やかさに欠けるといった筆者なりの印象を持っていましたが、君が代のメロディー誕生の経緯を知り、これまでよりも少しは親しみを感じるようになった気がします。
 

 節電を機に、風鈴の涼やかな音や、団扇、扇子、扇風機が運んでくれる風を友に、痩せ我慢でも、少しは楽しみながらこれからの夏本番を乗り切っていきたいものです。
 

2011年7月 理事(船員保険担当) 高原弘海

 

2.東日本大震災に被災された方の保険給付の支給について

東日本大震災で被災された皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。

前回の船員保険マンスリーでは、船員保険にご加入いただいている被災地域の方が、医療機関等を受診される場合の取扱い(保険証の提示、一部負担金等のお支払)について、平成23年7月1日(金)から変更になることを掲載いたしました。

今回は、船員保険にご加入いただいている被災地域の方の保険給付について掲載いたします。
詳しくは、全国健康保険協会船員保険部にお問い合わせください。

平成23年7月1日現在のお知らせです。

最新の情報については、船員保険部ホームページに掲載してまいります。

 

1.傷病手当金及び出産手当金の支給額について

震災により給料が低下し、標準報酬月額が改定された場合でも、平成24年2月29日までの支給分に限り、改定前の標準報酬月額に基づき支給します。

ただし、震災後に発生した傷病に対する傷病手当金については、震災に起因する傷病に限り、改定前の標準報酬月額に基づき支給します。
 

2.休業手当金等の支給額について

震災により給料が低下し、標準報酬月額が改定された場合でも、震災に起因する傷病により休業手当金等を受ける場合(平成24年2月29日までの間に給付事由が生じた者に限ります)は、改定前の標準報酬月額に基づき支給します。

対象となる給付
  休業手当金、障害年金、障害手当金、障害差額一時金、障害年金前払一時金、障害年金差額一時金、遺族年金、遺族一時金、遺族年金差額一時金、遺族年金前払一時金

3.葬祭料付加金(家族葬祭料付加金)の支給額について

震災により給料が低下し、標準報酬月額が改定された場合でも、震災に起因する傷病により亡くなられた場合(平成24年2月29日までの間に給付事由が生じた者に限ります)は、改定前の標準報酬月額に基づき支給されます。
 

4.行方不明の方に係る保険給付について

震災により行方不明となった方の生死が3月間わからない場合、船員保険の保険給付を受けることができます。

対象となる給付
  葬祭料、家族葬祭料、障害年金差額一時金、遺族年金、遺族一時金、遺族年金差額一時金、未支給の保険給付

 

(注)  
上記1ただし書き及び2の給付の申請には、震災による被害を受けたことが原因で傷病を発したことを明らかにする書類(診断書等)が必要です。
上記3の申請には、震災に起因する傷病が発したことを明らかにする書類(診断書等)が必要です。

 

◆申請書

申請書はこちらへ。

   

◆お問い合わせ先

 

お問い合わせは、「船員保険フリーコール」へ
 
フリーコール 0120-953-596(通話料無料)

期  間 平成23年4月25日~平成23年9月30日
受付期間 月曜日~金曜日(祝日を除く) 午前9時~午後5時45分まで

被災された加入者の方、船舶所有者の方専用となっていますので、一般的なご相談は

0570-300-800又は03-6862-3060にお願いいたします。

 

 

○ご利用いただける電話の種類

固定電話 携帯電話

PHS・IP電話

(050番号を除く)

IP電話
(050番号)
×

 

 

■申請書の送付先

全国健康保険協会 船員保険部

102-8016

東京都千代田区富士見2-7-2

ステージビルディング14階 

 

   

3.熱中症にご注意ください

 太陽

高温多湿な環境下では、熱中症が発生しやすくなります。
熱中症は生命にかかわる病気ですが、予防法を知っていれば防ぐことができます。
熱中症を防ぐためには、日常生活における注意が基本となります。
熱い夏を元気に過ごすために、熱中症のことをよく知り、しっかり予防しましょう。

熱中症とは?

熱中症とは、室温や気温の高い中での作業や運動により、体内の水分や塩分(ナトリウム)などのバランスが崩れ、体温の調節機能が働かなくなり、体温上昇、めまい、体がだるい、ひどいときには痙攣や意識の異常など、様々な症状をおこす病気です。

家の中でじっとしていても室温や湿度が高いために、熱中症になる場合がありますので、注意が必要です。
 

熱中症の症状

 

分類 症状 重症度

Ⅰ度

(現場での応急処置で対応できる軽症)

  • めまい・失神
    「立ちくらみ」という状態で、脳への血流が瞬間的に不充分になったことを示し、”熱失神”と呼ぶこともあります。
  • 筋肉痛・筋肉の硬直
    筋肉の「こむら返り」のことで、その部分の痛みを伴います。
    発汗に伴う塩分(ナトリウムなど)の欠乏により生じます。
    これを”熱痙攣”と呼ぶこともあります。
  • 大量の発汗
矢印

Ⅱ度

(病院への搬送を必要とする中等症)

  • 頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感
    体がぐったりする、力が入らないなどがあり、従来から”熱疲労”と言われていた状態です。

Ⅲ度

(入院して集中治療する必要性のある重症)

  • 意識障害・痙攣・手足の運動障害
    呼びかけや刺激への反応がおかしい、体にガクガクとひきつけがある、真直ぐ走れない、歩けないなど。
  • 高体温
    体に触ると熱いという感触です。
    従来から”熱射病”や”重度の日射病”と言われていたものがこれに相当します。

 

 

熱中症の予防方法

(1)暑さを避けましょう

 

熱中症の予防法
  1. 暑さを避ける。
  2. 生活環境を改善する。

 

 

 

 

 

 

<具体例>

  • 日陰を選んで歩く。
  • テントを張り、軒を出す(屋外での活動時)。
  • 朝のうちに打ち水をする。
  • ブラインドやすだれを垂らす。
  • 日傘をさす。
  • 帽子をかぶる。
  • 扇風機や空調(エアコン)を使う。

 

(2)服装を工夫しましょう

皮膚表面まで気流が届き、汗を吸って服の表面から蒸発させることのできるものが理想です。

近年開発されている吸汗・速乾素材や軽・涼スーツなどを活用しましょう。
太陽光の下では、輻射熱を吸収して熱くなる黒色系の素材は避けましょう。

襟元はなるべくゆるめて通気しましょう。

首周りをネクタイや襟で締めると、前胸部の汗が出て行きにくくなり不快感が生じます。

 

 空調設備(エアコン)使用のポイント

エアコン

  

1.設定温度

  • エアコンの設定温度は、機械のセンサーによって実態とかなり異なっている場合があります。人が居る場所での気温を正しく測定するように心掛けて、28℃を超えないように適切な温度となるようにしましょう。
  • エアコンの設定温度が低く(24℃を下回る)、外気温と室温の差が大きいと出入りする際にからだの負担になります。
    室内の人数、身体活動強度、服装などに合わせて、上手に調節しましょう。
     

2.気流

  • エアコンの気流は、冷気が長い時間直接人に当たらないように気流の出口を向ける工夫をしましょう。
  • 冷気が部屋の下層のみに溜まってしまわないように扇風機を組み合わせて対流させましょう。
    なお、広い空間などエアコンの効かないところでは、人のいる場所に冷風を送るスポットクーラーを利用したり、外気を取り入れて対流させる大型換気扇を利用したりしましょう。
    ただし、スポットクーラーからは逆向きに熱風が出ていますので、設置場所に注意しましょう。
    また、気温が体温よりも高い場合には、扇風機は熱風を送ってしまい、逆効果になることがありますから注意しましょう。

 

3.輻射

  • 人間が感じる暑さには、気温・湿度・気流だけでなく、太陽光や地面からの照り返しなどのように高温の物体から直接・間接に受ける放射熱(輻射熱)も関係します。
    エアコンをつけていても、日光や、発熱体からの輻射熱を受けると、暑さを感じます。
    窓から入る太陽の光は遮光フィルムやカーテンなどで遮断し、エアコンを効果的に使いましょう。

  

(3)こまめに水分補給をしましょう

「水分を摂り過ぎると、汗をかき過ぎたり体がバテてしまったりするのでかえってよくない」というのは間違った考え方です。
体温を下げるためには、汗が皮膚表面で蒸発して身体から気化熱を奪うことができるように、しっかりと汗をかくことがとても重要です。
汗の原料は、血液中の水分や塩分ですから、体温調節のために備えるには、汗で失った水分や塩分を適切に補給する必要があります。

暑い日には、知らず知らずにじわじわと汗をかいていますので、身体の活動強度にかかわらずこまめに水分を補給しましょう。
特に、湿度が高い日や風が弱くて皮膚表面に気流が届かない条件の下では、汗をかいても蒸発しにくくなりますので、汗の量も多くなります。
その分、十分な水分と塩分を補給しましょう。

また、人間は、軽い脱水症状のときにはのどの渇きを感じません。
そこで、のどが渇く前あるいは暑いところに出る前から水分を補給しておくことが大切です。

水分補給
◆お酒を飲んでも水分補給にはなりません

どのような種類のお酒であっても、アルコールは尿の量を増やし体内の水分を排泄してしまうため、汗で失われた水分をビールなどで補給しようとする考え方は誤りです。
一旦吸収した水分も、それ以上の水分がその後に尿で失われてしまいます。

お酒を飲んでも水分補給にはなりません

 

(4)急に暑くなる日に注意しましょう

熱中症は、例年、梅雨入り前の5月頃から発生し、梅雨明けの7月下旬から8月上旬に多発する傾向があります。
人間が上手に発汗できるようになるには暑さへの慣れが必要です。

暑い環境での運動や作業を始めてから3~4日経つと、汗をかくための自律神経の反応が早くなって、人間は体温上昇を防ぐのが上手になってきます。
さらに、3~4週間経つと、汗に無駄な塩分を出さないようにするホルモンが出て、熱痙攣や塩分欠乏によるその他の症状が生じるのを防ぎます。

このようなことから、急に暑くなった日に屋外で過ごした人や、久しぶりに暑い環境で活動した人は、熱中症になりやすいのです。
暑さには徐々に慣れるように工夫しましょう。

 

(5)暑さに備えた体づくりをしましょう

熱中症は梅雨の合間に突然気温が上がった日や、梅雨明けの蒸し暑い日によく起こります。
このようなとき体はまだ暑さに慣れていないので、熱中症が起こりやすいのです。
暑い日が続くと、体がしだいに暑さに慣れて(暑熱順化)、暑さに強くなります。
この慣れは、発汗量や皮膚血流量の増加、汗に含まれる塩分濃度の低下、血液量の増加、心拍数の減少などとして現れますが、こうした暑さに対する体の適応は気候の変化により遅れて起こります。

暑熱順化は、日常運動をすることによっても獲得できます。
運動の強さ・時間・頻度や環境条件に影響されますが、実験的には暑熱順化は運動開始数日後から起こり、2週間程度で完成するといわれています。
そのため、日頃からウォーキングなどで汗をかく習慣を身につけて暑熱順化していれば、夏の暑さにも対抗しやすくなり、 熱中症にもかかりにくくなります。
じっとしていれば、汗をかかないような季節からでも、少し早足でウォーキングし、汗をかく機会を増やしていれば、夏の暑さに負けない体をより早く準備できることになります。

(6)個人の条件を考慮しましょう

熱中症の発生には、その日の体調が影響します。

暑さに対して最も重要な働きをする汗は、血液中の水分と塩分から作られます。
脱水状態や食事抜きといった状態のまま暑い環境に行くことは、絶対に避けなければなりません。
特に深酒をして二日酔いの人は、非常に危険ですから、体調が回復して、食事や水分摂取が十分にできるまでは、暑いところでの活動は控えなければいけません。

活動の後には体温を効果的に下げるように工夫します。
そのためには、よい睡眠を取り、涼しい環境でなるべく安静に過ごすことが大切です。

風邪などで発熱している人、下痢などで脱水状態の人、肥満の人、小児や高齢の人、心肺機能や腎機能が低下している人、自律神経や循環機能に影響を与える薬物を飲んでいる人は、熱中症に陥りやすいので、暑い場所での運動や作業の負荷を軽減する必要があります。 

◆運動や仕事の前に・・・

運動や仕事をする前に、下記についてチェックしましょう。
該当項目が多いほど、熱中症になりやすいことになります。

  朝食は食べていない
  寝不足である
  脱水症状である
  風邪や体調不良である

 

(7)集団活動の場ではお互いに配慮しましょう

熱中症の予防には、個人ごとの努力とともに集団生活におけるお互いの配慮や注意も必要です。

まず、暑さが避けられない場所での運動や作業は、なるべく短時間で済ませるようにします。
責任者は、集団活動のスケジュールを工夫したり、暑さや身体活動強度に合わせてこまめに休憩を入れたり、選手や作業者を交代させて一人あたりの活動時間を短くしたりしましょう。

そして、暑い場所での集団活動で忘れてはならないものは、水分と塩分(ナトリウム)の補給です。
のどの渇きの感覚に陥っているといずれも不足していますから、活動を始める前から補給を始めるのがポイントです。
また、水分だけを補給していると血液中の塩分濃度が低下して、塩分欠乏による様々な症状が生じることがありますから、たくさん汗をかくような状況では塩分も補給するよう注意しましょう。

 

 集団活動における熱中症対策のポイント
  • 責任の所在を明確にし、監督者を配置しましょう。
  • 休憩場所を確保しましょう。
  • その日の暑さや身体活動強度に合わせて計画的に休憩を指示しましょう。
  • 個人の体調を観察しましょう。
  • 体調不良を気軽に相談できる雰囲気を作りましょう。
  • 体調不良は正直に深刻しましょう。

  

毎年、熱中症が多く発生し始める6月よりも前に、集団活動で管理が要求される分野では責任者を対象に熱中症についての予防や対策について周知することが大切です。

さらに、いざというときに紹介できる医療機関を調べておきましょう。
実際に、医療機関で受診させる際は、運動や仕事の説明をできる者が同行するようにしましょう。
 

熱中症の対処法

熱中症は生命にも関わる病気です。
重症の場合は救急車を呼ぶことはもとより、現場ですぐに応急処置を始めることが必要です。

現場での応急処置

1.涼しい環境への避難

風通しのよい日陰や、できればクーラーが効いている室内などに避難させましょう。

 

2.脱衣と冷却
衣服を脱がせて、体から熱の拡散を助けます。
露出させた皮膚に水をかけて、うちわや扇風機などで扇ぐことにより体を冷やします。
氷嚢などがあれば、それを頚部、腋窩部(脇の下)、鼠径部(大腿の付け根、股関節部)に当てて皮膚の直下を流れている血液を冷やすことも有効です。
深部体温で40℃を超えると全身痙攣(全身をひきつける)、血液凝固障害(血液が固まらない)などの症状も現れます。

体温の冷却はできるだけ早く行う必要があります。

重症者を救命できるかどうかは、いかに早く体温を下げることができるかにかかっています。

救急隊を要請したとしても、救急隊の到着前から冷却を開始することが求められます。
扇風機

 

3.水分・塩分の補給

冷たい水を与えます。

冷たい飲み物は胃の表面で熱を奪います。

大量の発汗があった場合には汗で失われた塩分も適切に補える経口補水液やスポーツドリンクなどが最適です。

食塩水(1リットルに1~2gの食塩)も有効です。

応答が明瞭で、意識がはっきりしているなら、水分の経口摂取は可能です。

「呼びかけや刺激に対する反応がおかしい」、「応えない」(意識障害がある)時には誤って水分が気道に流れ込む可能性があります。

また、「吐き気を訴える」ないし、「吐く」という症状は、すでに胃腸の動きが鈍っている証拠です。

これらの場合には、経口で水分を入れるのは禁物です。

 

水

 

4.医療機関へ運ぶ
自分で水分の摂取ができないときは、緊急で医療機関に搬送することが最優先の対処方法です。
実際に、救急搬送される熱中症の半数以上はⅢ度ないしⅡ度で、医療機関での輸液(静脈注射による水分の投与)や厳重な管理(血圧や尿量のモニタリングなど)が必要となっています。

 

<出典>環境省:熱中症環境保健マニュアル

 

4.生活習慣病とその予防(第12回)

元気な家族

生活習慣病は、毎日のよくない生活習慣のつみ重ねによって引き起こされる病気です。

前回は「脂質異常症とはどのような病気か」について掲載いたしました。
脂質異常症は自覚症状がないこと、どんな病気か知らないこともあるため、放置してしまうことも少なくありません。
しかし、放置してしまうと動脈硬化、ついには脳梗塞・心筋梗塞を招いてしまいます。

では、脂質異常症にならないためにはどうすればよいのか。
今回は、脂質異常症の予防法について掲載いたします。

脂質異常症を防ぐ食事

食事をコントロールすること

脂質異常症の原因には、遺伝子異常や他の病気に伴って現れるものもありますが、8割以上は多くの生活習慣に関連した原因が重なって発症してきます。

どのような生活習慣に原因があるかというと、過食、高脂肪食、運動不足などの悪い生活習慣や、それによる肥満があげられます。
つまり、食事にからんだ要因がいちばん多いといわれています。
ですから、脂質異常症を防ぐにはまず、食事に心を配って食生活を適正に保つことが重要になります。 

◆脂質異常症を防ぐ食事の基本

脂質異常症を防ぐための食生活では、以下の6項目が重要になります。

1. 偏らず「栄養バランスのよい食事」を。
2. 摂取総エネルギー量を抑えて、適正な体重を保つ。
3. 飽和脂肪酸(おもに獣肉類の脂肪)1に対して不飽和脂肪酸(おもに植物性脂肪や魚の脂)を1.5~2の割合でとる。
4. ビタミンやミネラル、食物繊維もしっかりとる。
5. 高コレステロールの人は、コレステロールを多く含む食品を控える。
6. 中性脂肪が高い人は、砂糖や果物などの糖質と、お酒を減らす。

 

◆コレステロールの多い人と中性脂肪の多い人では、注意すべきところに違いがあります

「脂質異常症を防ぐ食事の基本」のうち、1~4はどちらにも共通ですが、5と6はそれぞれ別個の注意点になります。

コレステロールの多い人

動物性脂肪を減らすこと。

肉の脂身や霜降り肉、バター、生クリームやアイスクリームは、コレステロール値を上げやすい食品なので、とり過ぎないようにすること。

コレステロールの多い食品は控えめに。

とくにコレステロールが多い卵は、1日1個が限度です

 中性脂肪が多い人

油脂、糖質、とくに砂糖を含むもの、果物を食べ過ぎないこと。

お酒を減らすこと。

  

コレステロールの7割は体内で合成されている

意外なことかもしれませんが、体内にあるコレステロールの7割前後は体内で合成されています。
ですから、食事からコレステロールをとらなくても、血中には少なめですがコレステロールがあります。

食事からコレステロールをとり過ぎても、健康な人なら一定量以上は吸収されません。
食事からたくさん入ってきたときには合成が減ります。
それでも多すぎる場合は、肝臓などにためるはたらきがあって、血中コレステロールは一定に保たれます。だからといって、「食事の影響が少ないからコレステロールを多く含む食品を食べても大丈夫」と考えるのはまちがいです。
高コレステロールの人は、このシステムに乱れが生じてコレステロールを蓄積しやすくなっているからです。
いま体内にある分も減らさなければいけないので、食事からとるコレステロール量を減らすことは、とても重要です。 

食品にも気をつけること

食品には、コレステロールを多く含む食品、上げる食品、下げる食品があります。

食品中のコレステロールというと、コレステロールを多く含む食品ばかりを気にしがちですが、体内のコレステロールを増やしやすい食品もあるので、それを避けることも大切です。

◆コレステロールを上げる食品

血中のコレステロールを増やす食品として明らかになっているのが、飽和脂肪酸です。
コレステロール値を上げる食品は、次の通りです。

<食品例>

  • ポテトチップス
  • チョコレート
  • 即席麺
  • 卵黄
  • 脂身の多い肉
  • バターやチーズなどの乳脂肪分
    など
ポテトチップスチョコレート

上げる食品は少量でも体内のコレステロールを増やしやすいので注意が必要です。

ポテトチップスは食品としては全くコレステロールを含んでおらず、チョコレートや即席麺に含まれるコレステロールもわずかですが、体内でコレステロールを増やす働きがあります。

 

◆コレステロールを下げる食品

体内のコレステロールを下げる働きをするのは、不飽和脂肪酸を多く含む食品です。
コレステロール値を下げる食品は次の通りです。

<食品例>

  • 野菜、果物
  • 海草類
  • 青背の魚
  • 大豆製品
    など

野菜 

下げる食品は積極的にとることをおすすめしますが、油や果物はとりすぎに注意してください。
 

お酒は脂質異常症と関係する?

お酒類は、少しの量を飲んでいる分には、HDL(善玉)コレステロールをふやす効果があります。
ただし、問題はなかなか適量ではすまずに、飲みすぎてしまうことです。

◆お酒を飲みすぎた場合の悪影響
肥満の原因になる
中性脂肪を増加させる
高血圧のリスクが高まる
◆1日の適正飲酒量
  • 日本酒:1合以下
  • ビール:缶ビール1本(500ml)以下
  • ウイスキー:ダブルで1杯
  • ワイン:グラス2杯
 ビール

お酒は、1日の適正飲酒量を守り、会話や食事を楽しむ潤滑油になる程度にとどめましょう。
また、毎日飲むと肝臓に負担がかかるので、週に2日、できれば連続して休肝日をもうけましょう。

 

脂質異常症を防ぐ日常生活

運動すること

脂質異常症の予防のために、食事とならんで重要なのが運動です。
なぜ、運動が重要かというと 、次の3つの点に大きな理由があります。

◆脂質異常症予防のための運動の重要性
とり過ぎたエネルギーを消費し、脂肪分が皮下や内臓に蓄積されるのを防ぐ
血行を促して血管の弾力をよくしたり血管をひろげるなどして、血圧を下げ、動脈硬化を防ぐ
体内での脂肪の流れがよくなるように調節する酵素の一つであるリパーゼを活性化させ、LDL(悪玉)コレステロールを減らしてHDL(善玉)コレステロールを増やす

 

○有酸素運動が効果的です

運動は、エネルギーを上手に消費するためと、全身の血行をよくするために行うので、激しいスポーツのような、ハードな運動をする必要はありません。
酵素をたくさん消費しながら行ういわゆる有酸素運動が効果的です。
楽しく、自分に合った、長く続けられる運動を選ぶことが重要です。

◆お勧めの有酸素運動
ウォーキング
水中ウオーキング
軽いジョキング
エアロバイク
クロスカントリースキー
遠泳、ゆっくりの水泳
エアロバイク

健康のための運動は、「気軽にできて続けられる」ことが大切です。
家事もしっかり行えばりっぱな運動です。

また、スクワットなどの筋力トレーニングも無理のない範囲でとり入れると、筋力が向上して代謝がよくなるといわれています。

運動時間が短いからダメということはありません。
また、毎日が無理なら、はじめは1日おきでも、1週間に2日か3日でもかまいません。
運動時間が短くてはダメとか考えずに、からだを動かすことを楽しんで、徐々に運動を習慣にしていきましょう。

○運動量の目安

厚生労働省が策定した「エクササイズガイド2006」では1週間の間にどれくらい運動を行えばいいかについて下記のように目標を定めています。
普段、あまり体を動かしていない人は、現在の自分に身体活動量に応じた目標を設定し、日常生活において体を動かすことを増やすことから始めましょう。

◆目標は1週間に23エクササイズ
身体活動の強さ「メッツ」に、その身体活動を行った時間をかけて運動の量「エクササイズ」を計算する。
  <メッツ×時間=エクササイズ(メッツ/時))>
1週間のエクササイズの合計が23エクササイズ以上を目標にする
そのうち4エクササイズ以上は活発な運動を!

 ※ここでいう、身体活動、運動、生活活動とは…。

身体活動… 安静にしている状態より多くのエネルギーを消費するすべての動きのこと
運動……… 身体活動のうち、体力の維持・向上を目的として計画的・意図的に実施するもの
生活活動… 身体活動のうち、運動以外のものをいい、職業活動上のものを含む

  

運動・生活活動には下記のようなものがあります。

  強度 運動 生活活動
3メッツ

軽い筋力トレーニング(20分)

ボーリング(20分)

歩行(20分)

屋内の掃除(20分)

4メッツ

速歩(15分)

ゴルフ(15分) 

自転車(15分)

子供と遊ぶ(15分)

6メッツ

軽いジョギング(10分)

エアロビクス(10分)

階段昇降(10分)
8メッツ

ランニング(7~8分)

水泳(7~8分)

重い荷物を運ぶ(7~8分)

( )内は1エクササイズに相当する時間。

<3メッツの歩行を1時間行った場合>

3メッツ×1時間=3エクササイズ(メッツ/時)

<6メッツのエアロビクスを30分行った場合>

6メッツ×0.5時間=3エクササイズ(メッツ/時)  

 

◆船内での運動

船内ではストレッチを行ってみてください。
限られたスペース・時間でも行うことができます。
以前にストレッチについて掲載した記事は下記になります。

 

「生活習慣病とその予防(第3回)」

「腰痛・肩こりの発生要因」

ストレッチする人

   

◆運動を行うときの注意点
1. 体調や天気などの状況を総合的に考え、条件が悪いときには休む。 
2. 軽い柔軟体操やストレッチによるウォーミングアップとクーリングダウンを忘れずに。 
3.

水分補給はこまめに、十分にする。
お茶やスポーツドリンク入りボトルなどを携帯する。

(ただし、運動をしない時に、スポーツドリンクを飲みすぎることは、糖分の取りすぎにつながるおそれがあるので注意しましょう。)

健康のための運動ですから、無理して体調をくずしたら逆効果です。
上記の点に注意し、体調に合わせて柔軟に行いましょう。

また、からだに心配な点がある場合などは、下記の2つも重要です。

4. 運動を始める前に、始めてよいか医師のチェックを受ける。
5. 医師またはインストラクターに、心配な点をかばう運動の種類をアドバイスしてもらう
(たとえば肥満の人の場合、体重が関節や骨にかかってけがが起こりやすいので、浮力のかかる水中歩行や、膝への負担が少ないエアロバイクが勧められる。)

   

禁煙すること

たばこを吸うと、下記のような作用があります。

たばこに含まれるニコチンは、交感神経を刺激させる作用があります。

心臓の血圧を上げ、心拍数を高めるなど活動を活発にして、心臓に負担をかけます。
中性脂肪の原料となる血液中の遊離脂肪酸を増やす作用もあります。
血液中のコレステロールが酸化されて粥状動脈硬化が進行します。
善玉のコレステロールであるHDLコレステロールの濃度が低くなります。

上記はいずれも動脈硬化を促進します。
動脈硬化は心臓病や脳卒中の原因となりますので、1日も早く禁煙することをお勧めします。

禁煙

 

 

ストレスをなくすこと

ストレスをため込むと、下記の作用があります。

ストレスがかかると交感神経を刺激して血管を収縮させ、血圧が上がります。
体内でカテコールアミン等の物質がたくさん作られ、コレステロール濃度や血糖値が高まります。
ストレスがかかるとお酒を飲み過ぎたり、たくさん食べ過ぎるなど、生活習慣にも悪い影響が出がちです。

上記の結果として、中性脂肪やコレステロールの濃度の上昇を招いてしまいます。

ストレスはため込まず、早め早めに解消することが大切です。
日頃からストレスを上手に解消・発散させる方法を身につけておきましょう。  


今回は、脂質異常症の予防法について掲載いたしました。
食事にしても、運動にしても、特別なことをする必要はありません。
日常生活のちょっとしたことに気を使うだけで、脂質異常症の予防につながります。
 

◆生活習慣改善アドバイス
  • 動物性脂肪やコレステロールを多く含む食品の摂りすぎに注意する。
  • アジやサバ、イワシなど青背の魚に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)などの不飽和脂肪酸を積極的に摂る。
  • コレステロールを低下させる作用のある食物繊維を積極的に摂る。
  • 甘いもの、アルコールは程々にする。
  • 適度な運動は中性脂肪を減らし、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を増やす作用があるので、ウォーキングなどからだに負担のかからない運動を週に3回、1日20分は行う。
  • 喫煙は善玉コレステロールを低下させるのでやめる。
生活習慣改善アドバイス(脂質異常症)

  

<参考>厚生労働省ホームページ  


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