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徳島支部

第32回 歯科恐怖症と向き合う

歯科健康コラム

歯科医院に対して「怖い」「行きたくない」と感じる人は少なくありません。中には強い不安や恐怖から受診そのものが困難になる「歯科恐怖症」の状態にある方もいます。

これは単なるわがままではなく、過去の痛みを伴う治療経験や、器具の音・匂い、先の見えない不安などが重なって形成される、れっきとした心理的反応です。

歯科恐怖症の問題は、受診の遅れによって口腔内の状態が悪化し、結果的により大がかりな治療が必要になってしまう点にあります。症状が軽いうちに治療を受けていれば短時間で終わったものが、放置することで痛みや腫れを伴い、さらに恐怖心を強めるという悪循環に陥ります。

では、どのように向き合えばよいのでしょうか。まず重要なのは、「怖い」という感情を否定しないことです。患者自身が無理に我慢するのではなく、歯科医療者に率直に不安を伝えることが第一歩となります。近年では、治療内容を事前に丁寧に説明したり、痛みの少ない処置を工夫したり、場合によっては鎮静法を用いるなど、恐怖心に配慮した診療が広がっています。

また、通院のハードルを下げるためには、「いきなり治療」ではなく、まずは相談やクリーニングから始めることも有効です。診療環境やスタッフに慣れることで安心感が生まれ、徐々に恐怖が軽減していきます。信頼関係の構築こそが、歯科恐怖症克服の鍵と言えるでしょう。

歯科医療は、痛みを取り除くだけでなく、健康な生活を支える重要な役割を担っています。歯科恐怖症は決して珍しいものではなく、適切な対応によって乗り越えることが可能です。一人で抱え込まず、安心して通える歯科医院と出会うことが、口腔の健康を守る第一歩となります。

徳島県歯科医師会
常務理事 田岡計久

日本歯科医師会PRキャラクター
「よ坊さん」(徳島県)