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奈良支部

有病者の歯科治療について(令和2年11月)

令和02年11月02日

こんにちは!奈良県歯科医師会です。
令和元年5月から2か月に1回、「大人の歯とお口まわり」について、情報満載の健口コラムを連載しています。
元気に働くために、また健康で長生きするために、お口まわりのケアは皆様の想像以上に大切です。
皆様の健康のために、私たち奈良県歯科医師会がお手伝いいたします!

有病者の歯科治療について

近年、平均寿命が延び、高齢の方が歯科を受診する機会が増えてきています。
また、いわゆる「生活習慣病」やその他の病気を有する方もたくさんいらっしゃいます。
そのような方が歯科受診時に注意しなければいけないことを挙げてみます。

高血圧

  1. 治療日は内服薬を忘れずに服用してから来院してください。
    また、服用中の薬またはそのリストをご持参ください。
  2. 血圧が高いのに、内科で治療を受けておられない方へ
    血圧の上昇により、脳出血をおこしたり、心筋梗塞をおこしたりすることがあります。歯科治療が
    緊張感、不安感を与えることになり、普通の方でも血圧が上昇します。内科的治療を受けておら
    れない方は、特に著しく変化することがあります。内科的治療を受けて、血圧をコントロールし、
    安全に歯科治療を受けましょう。
  3. ある種の降圧薬の長期連用によって、歯肉が腫れてしてしまうことがあります。歯肉出血が気に
    なる方は薬が原因の場合が考えられます。この副作用は、他の降圧薬に変更してもらうことで多
    くは改善します。

狭心症・心筋梗塞

  1. 治療日は内服薬を忘れずに服用してから来院してください。
    また、服用中の薬またはそのリストをご持参ください。
  2. 発作にそなえて、ニトロの錠剤かスプレーを忘れずにご持参ください。
  3. 抗凝固薬(血液をサラサラにする薬:ワーファリン、プラビックス、バファリンなど)を内服して
    いる場合は、処置後の止血が困難となる場合がありますので申し出てください。
  4. 「心臓が悪いから、麻酔ができない」というのは間違いです。麻酔は上手に使えば心臓に与える
    影響は少ないものです。逆に、麻酔をせずに痛いほうが心臓に悪影響を及ぼすといわれています。
    安心して来院してください。

心臓弁膜疾患・先天性心疾患

  1. 細菌性心内膜炎の発症を予防するために、抗生物質を治療前に飲んでいただくことがあります。
    その際には指示されたとおりに、必ず服用してください。
  2. 抗凝固薬(血液をサラサラにする薬:ワーファリン、プラビックス、バファリンなど)を内服して
    いる場合は、処置後の止血が困難となる場合がありますので申し出てください。
  3. 「心内膜炎になるのが怖いから、歯科治療を受けない」という考え方は間違いです。逆に、感染源
    が残ったままですので、いずれ心内膜炎をおこしてしまう可能性があります。弁膜症のある方は、
    特に感染源を無くすためにも歯科治療を受けてください。

ペースメーカー装着

直接心臓に電気刺激を与えて、心臓のリズムを保っていますので、電気メスや電気的に歯根の長さを測る装置が使用できません。治療前に必ず申し出てください。

脳梗塞・くも膜下出血・脳出血

  1. 治療日は内服薬を忘れずに服用してから来院してください。
    また、服用中の薬またはそのリストをご持参ください。
  2. 抗凝固薬(血液をサラサラにする薬:ワーファリン、プラビックス、バファリンなど)を内服して
    いる場合は、処置後の止血が困難となる場合がありますので申し出てください。

糖尿病(コラム後半にも詳細があります)

  1. 内科でどのような治療を受けているか、教えてください。
    (食事療法、内服薬、インシュリンなど)
  2. 血糖値のコントロール状態を教えてください。
  3. 麻酔をすると、しばらく食事ができません。低血糖発作をおこさないように注意してください。
    (空腹時を避ける、ジュースやあめ等で糖分を取るなど)
  4. 健康な人に比べて感染しやすいです。抜歯や切開処置などを受けたら、処方された薬は、必ず全て
    内服してください。

喘息

  1. 不安等の心理的因子や気道を刺激するような匂いで、治療中に発作をおこす可能性があります。
    念のため、吸入薬は忘れずご持参ください。また、喘息発作を頻回におこしている時期には治療は
    避けたほうがよいかもしれません。
  2. アスピリン喘息の方は、歯科で投与する鎮痛剤で発作をおこすことがあります。アスピリン、
    バファリン、ポンタール、ボルタレン、インダシン等の鎮痛剤は避けてください。
  3. 治療期間中は、内服薬を忘れずに服用してください。ステロイド剤(副腎皮質ホルモン)を服用され
    ている方は、特に忘れないようにしてください。

肝炎・肝硬変・肝がん

  1. B型、C型肝炎の方は教えてください。肝炎ウイルス感染の予防対策が必要です。
  2. 肝機能が悪化していると、出血が止まりにくい時があります。

慢性関節リウマチ

  1. ステロイド(副腎皮質ホルモン)が投与されていることがあります。長期にわたり服用していると、
    自分自身の副腎機能が低下し、ストレスに対して抵抗性が弱くなります。薬の種類と服用量を教えて
    ください。
  2. また、ステロイドには「免疫抑制作用」もあり、感染しやすくなりますので、抜歯や切開処置などを
    受けたら、処方された薬は、必ず全て内服してください。

アレルギー

  1. 薬でアレルギーのある方は、その薬の名前を教えてください。
  2. 手袋などに使用されるラテックスや消毒薬のイソジンにアレルギーのある方は申し出てください。

人工透析

  1. 透析のスケジュールを教えてください。透析当日は止血しにくいことがあります。
  2. 感染をきたしやすいので、抜歯や切開処置などを受けたら、処方された薬は、必ず全て内服して
    ください。

妊産婦

  1. 歯の痛みや歯肉の腫れなどの急性症状がある時には、妊娠中のどの時期でも処置する必要があり
    ます。しかし、妊娠中の治療は、できれば妊娠15週から35週の時期に行うことが勧められます。
  2. 薬を服用したり、レントゲンを取る場合もあります。これについては、妊娠中も比較的安全に使用
    できるとされる薬がありますし、レントゲンに関しても歯科のレントゲンの放射線量は極めて少ない
    とされています。また、局所麻酔もその使用量が少ないので、まず問題ありません。むしろ、使用し
    ないで強い痛みを感じるほうがストレスとなります。

以上、代表的な病気を挙げてみましたが、この他にも注意しなければならない病気があります。病気をお持ちの方は、主治医にご相談ください。

糖尿病と歯科治療

今や国民病の一つとも言われている糖尿病。2011年の日本の糖尿病推定人口は約1070万人で、世界第6位。さらに増加の傾向が強まっています。
高血糖状態が長く続くと血管や神経が次第に傷み、重い合併症を引き起こします。
歯周病もその一つで、糖尿病の患者さんは重度の歯周病になるリスクが3倍も高いといわれています。一方、最近では歯周病がインスリンの働きを防ぎ、糖尿病を悪化させることもわかっています。このように、糖尿病と歯周病は互いを悪化させる関係になっています。

糖尿病への影響は?

  1. 傷が治りにくく、通常に比べ炎症を起こしやすい
    →外科的処置の際には、抗生剤の事前投与が必要となる場合があります
  2. 合併症の種類により、治療上の問題がある
    →大きな病院を紹介することもあります
  3. 歯科治療中の低血糖発作
    →治療前の食事は抜かないでください
  4. 歯科治療の途中などで食事に支障が出ることによる糖尿病の食事療法への障害

など

安心・安全に歯科治療を受けるため、今の体調や現在受けている糖尿病治療について、必ず教えてください!

  1. 血糖値
    →空腹時の血糖値がどのくらいであるか?
  2. HbA1c
    →ヘモグロビンにブドウ糖がくっついた状態のもので、この割合を調べると血液中の血糖のコントロール状態がわかります
  3. 治療法
    →食事療法のみか、飲み薬があるか?インスリン注射をしているか? 薬の名前や回数、量なども必要です
  4. 合併症
    →現在どのような合併症があるか?
  5. 通院している病院と主治医
    →合併症があったり、糖尿病のコントロールがよくない場合は、かかりつけ内科の先生との連携が必要となることがあります。
    しかし、糖尿病の方の歯科治療は合併症が無く、きちんとコントロールされている場合はほとんど特別な対応は必要ありません。安心して治療を受けてください。

歯科で定期健診を受けましょう!

糖尿病がある方は、特にむし歯や歯周病にかかりやすく、進行も早くなります。
だから、しっかりとプラークコントロールすることが重要で、一番の予防法です。
定期的に歯科健診を受けてリスクを上手に管理し、ご自身の歯を守っていきましょう!

奈良県歯科医師会では、事業所における歯科健診事業を実施しています。
詳しくは、奈良県歯科医師会までご連絡ください。(電話0742-33-0861)

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