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健康経営コラム第6回

健康経営の取組 その1

 

経営者が率先して取り組む健康経営

  経営者が自ら毎年健康診断を受けている中小規模事業場の健康づくりの取組み内容は、先進的であったという過去の研究成果があります。経営者が自分自身の健康に関心をもちセルフケアに取り組んでいると、その効果は事業場の従業員への取組みにも大きな影響を及ぼすということです。経営者が病に倒れると事業場のやりくりも大変になります。まさしく、経営者が自らの時間を投資して健康管理を実践している、ということです。健康経営の事始めは、経営者が健康経営宣言を表明することです。その作成には、また時間を要しますが、その作成過程で、従業員の健康状況について情報を収集して、問題点を探ることになるのではないでしょうか。そして問題点や課題が抽出されれば、その解決に向けて、できることから一歩一歩積み上げていくことで、健康経営が進むことになります。つまり、健康経営の始まりは、経営者自身の健康状況の把握と、従業員の健康情報の収集ということになります。

 健康を経営の視点でとらえるとは、経営者の働きかけで従業員の健康管理意識を高めることです。そして、経営の視点で健康を捉えると、健康力を高めることで生産力や創造力の向上に直結することになるのです。

 健康は経営、疾病は医療、とは一線を画することができます。医療職が健康診断の受診を勧奨しても効果は期待できませんが、経営者が受診勧奨するとどうでしょうか。費やした時間以上の効果が期待できるのではないでしょうか。つまり、より効果的な健康づくり事業が展開できることになります。

 アメリカの研究成果では、個別に健康づくりの指導をするよりは、組織的な健康づくりの取組みの費用対効果は高いと報告されています。健康づくりを経営の視点で捉えるとは、健康づくりや疾病予防を行い健康という状況に踏みとどまるための力は、経営者のパワーがより大きいといえます(力を与えるということでエンパワーメントといいます。)。世の中では、パワーハラスメントによる健康障害が訴訟となり社会問題となっていますが、一方では、経営者のパワーが従業員の健康力を高め、職場の活性化の原動力になっています。

 欧米では、健康情報は個人情報であり、会社で健康診断を受けることはありえません。一方我が国では、労働安全衛生法で事業者に従業員の健康診断を罰則付きで規定しています。経営者が従業員の健康管理者としてその法的義務を実施することになっているのです。

法令遵守が、すなわち従業員の健康の保持増進に寄与し、プレゼンティーズムの予防となり、労働生産性を高めることになるのです。まずは一言、「健康診断を受けましたか。」

 自らの健康状況の把握と従業員の健康に配慮することが健康経営の事始めです。

 

(NPO法人 健康経営研究会  理事長  岡田 邦夫 先生)