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11月 肝機能が気になったら

 導入漫画

●“沈黙の臓器”といわれる肝臓

肝臓は、人間の体の中で最も大きな臓器といわれています。たんぱく質・脂質・糖質などの栄養素を体内で使える形に変えて蓄える「代謝」、薬・アルコール、老廃物などの有害な物質を分解して無毒化する「解毒」、脂質の消化・吸収を助ける働きのある「胆汁の生成と分泌」などの役割があります。
このように肝臓は重要な役割を担っていますが、何らかのダメージを受けていたとしても自覚症状が現れにくいため、「沈黙の臓器」ともいわれています。そこで、健診を受けて肝臓の異常を早期発見することが重要になります。
肝機能の数値に異常があっても症状がないからといって放置すると、肝炎や脂肪肝から、肝臓が硬くなり肝機能が低下する「肝硬変」、さらには「肝臓がん」へと進行することもあります。

●肝臓の大敵はウイルス・アルコール・肥満

肝臓にダメージを与える大きな要因として、「肝炎ウイルス」「アルコール」「肥満」があります。

・肝炎ウイルス

日本人の肝臓の病気の主な原因となっているのは、肝炎ウイルスの感染によるB型肝炎とC型肝炎です。近年、ウイルス性肝炎の治療法が進歩し、早期発見して適切な治療を受けることで、進行を抑えたり、治すことも可能になってきました。「肝炎ウイルス検査」を一度も受けたことがない人は必ず受けましょう。

・アルコール

お酒の飲み過ぎが長期間続いていると、アルコールを分解する肝臓に負担がかかり続け、肝臓の病気が起こりやすくなります。多くは、肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積する「アルコール性脂肪肝」になり、お酒を飲み続けていると腹痛・発熱・黄疸などの重篤な症状があらわれる「アルコール性肝炎」になり、死亡するケースもあります。さらに進行すると、肝硬変となり、肝臓がんのリスクが高まります。

・肥満

肝臓の病気というと“お酒の飲み過ぎ”と思いがちですが、お酒を飲まない人も注意が必要です。肥満・食べ過ぎ・運動不足などにより、肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積する「非アルコール性脂肪肝」が起こります。「非アルコール性脂肪肝」から肝臓に炎症が起こった状態の「非アルコール性脂肪肝炎(NASH:ナッシュ)」になると、肝硬変や肝臓がんに進行するリスクが高いことがわかっています。

●肝機能を改善する生活習慣

食事でとったエネルギーが消費量を上回ると、肝臓で中性脂肪が多く作られ、脂肪肝になりやすくなります。肝機能を改善するためには、肥満につながる食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足にならないように心がけることが大切です。

肥満を解消する

肥満の人は減量し、適正体重をめざすことが第一です。肥満の原因となる食べ過ぎに注意し、腹八分目を意識しましょう。

糖質・脂質を控える

甘いお菓子やジュース、ごはんなどの糖質は、エネルギーとして使用されなかった分が中性脂肪として蓄えられます。肉の脂や揚げ物などの脂質もとり過ぎると、中性脂肪として蓄えられるため、控えめにしましょう。

たんぱく質・ビタミンをとる

肝細胞の修復や機能回復に必要なたんぱく質をとりましょう。ただし、とり過ぎるとエネルギーが過剰になるため、青魚や鶏ささみ、豆腐、卵などを適量とりましょう。また、肝機能が低下するとビタミンが不足するため、ビタミンEを多く含む緑黄色野菜(モロヘイヤ、かぼちゃなど)やナッツ類(アーモンド、落花生など)を十分にとりましょう。

アルコールは控える

アルコールは肝臓での中性脂肪の合成を促進し、脂肪肝を悪化させるため、できるだけ控えましょう。厚生労働省の「健康日本21(第二次)」では、生活習慣病のリスクを高める飲酒量として、1日あたりの純アルコール量は男性40g以上、女性は20g以上としています。飲む場合は、男性は40g、女性は20gまでにとどめましょう。

純アルコール20gの目安
ビール 中びん1本(500mL)
日本酒 1合弱(160mL)
チュウハイ 350mL缶1本(350mL)
ワイン グラス2杯弱(200mL)
ウイスキー ダブル1杯(60mL)

習慣的に運動する

肝臓にたまった中性脂肪を減らすよい方法が運動です。1日30分を目標に、ウオーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を習慣にしましょう。筋肉量が多いと脂肪が燃焼されやすくなるため、スクワットなどの筋力トレーニングを加えるとさらに効果的です。

 

肝機能が気になる人の健康レシピはこちら

[監修]東京大学未来ビジョン研究センター
ライフスタイルデザイン研究ユニット客員准教授
医師 医学博士 関谷 剛