バックナンバーVol.26(H23.12.15)
「Salud!えひめ」協会けんぽ愛媛支部メールマガジン<2011年12月15日号>通巻:第26号
「Salud(サルー)」とはスペイン語で「健康」「乾杯」を意味する言葉です。
目次
● 前口上
● 「ドクターすなみの脳のおはなし」 第12回 記憶力をアップする
●前口上
いよいよ師走となり、余すところあと二週間。月日の経つのは早いですね。何かとお酒のお誘いが多い時期と思いますが、忘年会の疲れは大丈夫でしょうか。健康第一にお過ごしください。
このメールマガジンでは、協会けんぽ愛媛支部がその時々に実施している事業をご案内するとともに、皆様の健康づくりに役立つコラムをあわせてお届けしております。
皆様のご期待に添えるように内容を随時ブラッシュアップしてまいりますので、是非ご意見等賜りますようお願い申し上げます。
●協会けんぽ愛媛支部からのお知らせ
1. 愛媛支部の年末年始の営業について
年末年始の電話・窓口受付業務については、平成23年12月29日(木)から平成24年1月3日(火)の間、お休みさせていただきます。年始は、1月4日(水)午前8時30分より、通常通り業務を行います。
2. 東日本大震災関連情報
被災された加入者の皆様が平成23年7月1日以降に医療機関等を受診される際の取扱いを、変更しています。詳細については当協会ホームページ(下記参照)にてご確認願います。
http://merumaga-kanri.kyoukaikenpo.or.jp/cl/N03/2201000293/20463/2741224
3. 生活習慣病予防健診対象者データのダウンロードサービスについて
生活習慣病予防健診のお申し込みにあたり、健診の対象者データとExcelVBAツールOpti(オプティ)をダウンロードいただき、お客様自らが協会支部に申し込むデータ・申込書を作成できるサービスを実施しております。詳細につきましては下記よりご覧ください。
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/13,65865,109,166.html
注1)上記サービスを利用するには、事前にIDを取得する必要があります。このIDを一度取得すれば、来年度以降も対象
者データを継続してダウンロードできます。
注2)提供データは、各年度中に35歳以上となられる方を抽出のうえ作成しております。なお、平成23年度版のデータ提供
は、本年12月までとしておりますので、よろしくご留意のほどお願い申し上げます。
4. 平成23年度の被扶養者資格再確認の中止について
協会けんぽでは、保険給付の適正化及び高齢者医療制度における納付金・支援金の適正化を目的に、被扶養者資格の再確認業務を実施しています。
平成23年度については、東日本大震災が発生したことから、実施を延期しておりましたが、このたび中止することとなりましたので、お知らせいたします。
なお、平成24年度は実施を予定しております。実施方法・時期などの詳細は決定次第、お知らせいたします。詳細は下記よりご覧ください。
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/13,66860,109,166.html
5. 退職後の健康保険について
在職時に交付されている健康保険証は、退職日までしか使えません。
無効になった保険証を使用した場合は無資格受診となり、後日、医療費の全額(自己負担分を除く)をお返しいただくことになりますのでご注意ください。
こんなケースがよくあります・・・詳細は下記リンク先よりご覧ください。
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/13,88867,109,166.html
事業主の皆様におかれましては、従業員の皆様の退職時における保険証回収の徹底に、ご協力をお願いいたします。なお、退職後の健康保険制度へのご加入は、3つの選択肢があります。詳細は下記リンク先をご覧ください。
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/13,56415,109,166.html
●ドクターすなみの脳のおはなし 第12回「記憶力をアップする」
あなたが出前を取ろうとラーメン屋さんの電話番号を調べたとします。頭に記憶して電話をかけましたが話中でした。少しして、ほんの2,3分してでしたが、もう電話番号が思い出せません。一時的に覚えた、つまり「短期記憶」といいます。いつも使ってる電話番号なら場合によっては一生、覚えています。こうなると、「長期記憶」といいます。
みなさん、過去に覚えていることを思い出してください。こういうと、小学校の運動会でかけっこで1等賞をとったこと、好きな人に告白したけど、ふられたこと、受験に合格して家族でお祝いしたこと、などいろいろありますよね。こういった過去の自分の出来事に関連した記憶を「エピソード記憶」と呼びます。
しかし、長期記憶はこれだけではありません。「いい国作ろう鎌倉幕府」とか、アメリカの初代大統領はワシントンだとか、学校で習うことも長期記憶となり、勉強ができるかできないかは、こういった記憶の良し悪しで判断しているところも大いにあります。こういう記憶を「意味記憶」といいます。もっとも意味記憶には、あそこのケーキ屋さんのチョコレートケーキはわたしにはちょっと甘すぎるだとか、あの交差点を右に曲がるとリッター130円の超安いガソリンスタンドがあるとか、そういった抽象的な記憶も意味記憶です。
この意味記憶の素晴らしさについて、お話したいと思います。先日、タクシーに乗りました。二番町から我が家まで乗ったのですが、ぼくが知らない細い道をくねくねと、しかし要領よくすべるように走ります。それはもうマジックにかけられたようで、見事なものでした。
どういったら最も時間がかからずに、しかもあの交差点は工事中のことが多いからひとつ手前で曲がっておいたほうがいいとか、この道をこのタイミングで抜けると、あの信号にかからなくて済むとか、そういった長年にわたって蓄積された知識や経験を手がかりにして運転手さんは記憶をふりしぼって、ベストの道を選
んでくれています。
つまり、自分の脳に記憶された「地図」と「経験」を駆使して、最新のコンピュータでも追いつかないくらいの複雑な考えを瞬時におこなって、目的地へ向かうわけです。
さて人の脳には、神経細胞が1,000億個以上あることがわかっています。そして大脳・小脳・脳幹などと細かい部位に分けられますが、誰の脳でもほぼ同じ数の神経細胞が同じように並んでいて、個人による差はほとんどないのです。そして脳には多くのしわがありますが、しわの数も同じで同じ数のしわが同じように存在しています。
しかしこの神経細胞も年とともに減っていきます。生まれたばかりの赤ちゃんがもっとも多くの神経細胞を持っていて、毎日どんどん減っています。そのスピードはみなさんが想像するよりはるかに速く、毎日数万個から10万個という猛烈なスピードで減っています。これは1秒に1個くらいのペースで神経細胞が死んでいる計算になります。
神経細胞が増えないで減る一方だということには、ちゃんとした理由があると思います。神経細胞以外のからだの細胞はほとんどが増える、つまり増殖能力を持っています。肝臓などは手術で90%を切り取っても、数か月すると元どおりの立派な肝臓ができあがります。皮膚や腸や血液の細胞なども盛んに増殖を繰り返しています。赤血球は120日くらいの寿命です。
ところが神経細胞は死んでいくだけらしい。これは神経細胞がどんどんできて新しい神経細胞に置き換わったら、個性が変わってしまうからではないでしょうか?つまり、きのうのわたしと今日のわたしが同じであるために、神経細胞は増殖しないのです。わたしはそう思っています。
記憶した神経細胞がどんどん入れ替わってしまったら、それはもうほんとに困るのだと思います。わたしがわたしであるために、わたしの記憶を忘れないために、神経細胞は一生働き続けていることを覚えておいてほしいと思います。
ここで、話をもとにもどします。みなさん記憶力は大丈夫でしょうか?タクシー運転手さんの話にもどるんです。
さて、タクシー運転手の脳を徹底的に調べた研究者がいます。ロンドンのマグワイアという学者です。サルやネコやネズミの脳を使って実験したりする研究者は多いのですが、マグワイアはタクシー運転手さんの脳をたくさん調べたのです。こういう常識にとらわれない研究って、ほんとに魅力があります。もうぼくなんかワクワクして論文を読みました。
さて彼女は、マグワイアは女性科学者です、彼女はその斬新な研究で、タクシー運転手の脳のある一部分が一般の人よりも大きいという驚くべき事実を発表しました。つまり、その部位では神経細胞の数が普通の人よりも多いというのです。この事実は、人によって脳の大きさや形はそれほど変わらないという、これまでの常識を真っ向から否定しています。
そしてマグワイアはベテランドライバーほど、その脳の部分が発達していることを明らかにしているのです。ハンドルを握って30年すると、その脳の部分が3%膨らんでいるというのです。
もうこの発表は衝撃でした。とにかく減る一方だと考えられていた脳の神経細胞が、実は増えてるんだという事実。これによって脳科学者や医者はこれまでの考えをもとからくつがえされました。
もう1つ、脳を使えば使うほど神経細胞が増えるという事実。脳を鍛えることで記憶をつかさどる神経細胞を増やせるのです。タクシードライバーの素晴らしい記憶力は、まさにじっくりと脳を鍛え上げた結果、できあがったのです。先日のわたしが乗った運転手さんも、脳の一部が発達してたくさんの神経細胞を持った運転手さんだったのでしょう。
さらに驚くことは、タクシー運転手さんは大人になってから始める職業です。だから神経細胞は大人になってからでも十分に増えていくということです。「わたしはもう若くないから、いまさら鍛えても・・」という方。大丈夫です。いくつになっても鍛えることができます。
さて、運転手さんの脳が一般の人よりも発達している部分。それは脳の中でもある限られた部分だけです。それは大脳の横、側頭葉と呼ばれる耳の奥の「海馬」と呼ばれる部分でした。直径1cm長さは10cm足らずで、タツノオトシゴのような形から「海馬」と呼ばれています。
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松山市民病院脳神経外科部長 角南 典生(すなみのりお)先生
略歴
昭和51年3月 岡山大学医学部卒
昭和59年8月 日本脳神経外科学会専門医
昭和59年12月 医学博士
昭和60年10月 病理解剖認定医
平成元年1月 日本体育協会公認スポーツドクター
平成15年4月 松山市脳卒中対策協議会委員
〃 松山看護専門学校非常勤講師
平成16年3月 聖カタリナ学園衛生看護専攻科非常勤講師
平成19年6月 愛媛新聞社より著書「Drすなみの脳のおはなし-頭痛から脳卒中まで-」発刊
平成20年4月 南海放送ラジオ「ドクター角南のオー脳!」スタート
平成20年11月 愛媛新聞社より第2弾「Drすなみのかしこい患者学」発刊
平成23年6月 愛媛新聞社より第3弾「脳のおはなしPART2-頭の中の小宇宙-」発刊
松山市脳卒中対策協議会委員となってから、「脳卒中の予防」の啓発に力を入れ、講演・ラジオ出演など引き受け、微力ではありますが活動をしています。
公民館を中心に土日および平日の夜、講演を行っています。
「脳のおはなし」は丸三書店で発売から連続11週、売り上げベストテンに入り、現在第5刷。第2弾の「かしこい患者学」も増刷となっています。
2008年4月から毎週日曜日午後3時「松沢はつみの南海クラシックス」の中で、15分間「ドクターすなみのオー脳!」というコーナーを設けていただき、脳の科学・脳の医学について楽しくお話させていただいております。
■発行 全国健康保険協会(協会けんぽ)愛媛支部
〒790-8546 松山市三番町7-1-21ジブラルタ生命松山ビル5階
TEL 089-947-2100(代表)
(愛媛支部ホームページ)http://www.kyoukaikenpo.or.jp/13,0,109.htm



