これまで折にふれて、メールマガジンを中心にお知らせしてきました健康保険に関する制度や運用等の変更に係る関係機関での検討状況をお知らせするページです。 

 

 社会保障・税の共通番号(マイナンバー)導入に向けた動きについて 2  H24. 5. 7

  平成27年1月の運用開始を目指し、今国会に提出されている「マイナンバー法案」は、この大型連休明けにも国会審議が開始されるようです。政府は所得の正確な把握や年金、生活保護、介護保険や税の申告などに使用するだけでなく、多くの行政手続きに、このマイナンバー制度の活用を検討しているようです。その概要が明らかになりましたのでお伝えいたします。 

 個人の場合、結婚や転居、退職時などにマイナンバーを使ってインターネットで届け出をすれば、複数の届け出が一括して可能となるシステムを目指しています。インターネット環境が整っていない場合にはICカードを無料配布し、行政機関の窓口に持参すれば同様の手続きができるようにするようです。
 例えば、転居に伴う手続きは最多で26種類があり、関係する行政機関が7つあるとのことですが、マイナンバーを使って転入届を提出すれば、年金の受け取りや奨学金の返済など関係ある行政機関への届け出住所が自動的に変更されるようになる見込みです。 

 また、行政側からはサービスの情報提供や手続き漏れを注意喚起する仕組みも検討されています。将来は確定申告の自動作成システムや年金保険料の納付実績・納税記録の閲覧にも活用範囲を広げることが考えられているようです。

 

 パート労働者への社会保険適用拡大について2  H24. 3. 15

 3月14日、政府・民主党はパート労働者に対する社会保険の適用拡大について合意しました。対象者は①週の労働時間が20時間以上、②年収94万円以上、③雇用期間1年以上の条件を全て満たす労働者とする。勤務先の従業員規模が501人以上の企業には平成28年4月から適用し、3年以内に対象者を拡大することを盛り込んだ法案を今国会に提出する方針が固まったとのことです。

 この結果、平成28年4月には新たに45万人が社会保険の被保険者となる見通しです。 前回お伝えした改正案第1弾(従業員1,001人以上、年収80万円以上)の対象者50万人よりも小規模となりました。パート労働者を多数雇用している流通業界や外食産業からの反対意見が根強いことから、対象企業は広げるものの、年収基準を引き上げることによって、前回案より企業負担(保険料は労使折半)が軽くなるよう配慮したようです。

 

 パート労働者への社会保険適用拡大について1  H24. 3. 9

 「社会保障と税の一体改革」に盛り込まれている短時間労働者(パート労働者)に対する社会保険(協会けんぽや健康保険組合等の健康保険・厚生年金)の適用拡大に関する厚生労働省(案)が明らかになった、と報道されました。それによりますと、適用拡大に伴う企業負担の増加を緩和するため、2段階での実施が考えられているようです。 

 適用の対象者は、①週の労働時間が20時間以上、②年収が80万円以上、③雇用期間が1年以上の条件を全て満たす労働者とし、
・第1弾は、従業員1,001人以上の企業で働くパート労働者を対象とし、法案成立から3年後の実施
 (早ければ2,015年ごろ)を想定しているとのことです。
・第2弾は、従業員301人以上もしくは501人以上の企業のパート労働者に拡大します。(人数規模
 については、両案のいずれかで調整の見込み)

 その結果、第1弾では適用対象者数が50万人、企業の負担が約800億円発生し、第2弾では70~80万人が新たに対象となり、企業には最大約1,600億円の負担が増加することとなります。(合計、120~130万人、企業負担は最大約2,400億円)
 また、金額は明らかにされていませんが、協会けんぽと健康保険組合の財政が悪化し、共済組合と国民健康保険の財政が改善されることになるようです。
 このため、報道によれば企業や保険者の多額の負担増に対する激変緩和措置が検討されているとのことです。

 

 健診・保健指導等の達成状況に係わるペナルティ制度  H24. 3. 8

 高齢者の医療の確保に関する法律では、平成24年度における健診・保健指導等の参酌標準(目標)の達成状況により後期高齢者支援金に最大10%の範囲内で加算・減算を行うこととされていますが、その詳細は実施状況を踏まえて検討することとなっています。

 この度、厚生労働省内において保険者検討会が開催され、厚労省サイドの考え方についての説明と意見交換が行われましたので、その概要についてお知らせいたします。

<検討会概要>

一、保険者によって大きく異なる現状の実施率を踏まえ、参酌標準の達成状況に加えて、国保、協会
 けんぽ、健保組合、共済組合等の保険者種別ごとの実施率等に大きな乖離がある実態を勘案する必
 要があるとの考えが示されました。

二、加算・減算の指標となる参酌標準は、①特定健診実施率(協会けんぽは70%)、②特定保健指導
 実施率45%、③メタボ該当者と予備軍の5年間での減少率10%となっていますが、③については
 健診実施率によって特定保健指導の対象者が大きく変動することから、適正な評価が困難であると
 して、24年度の指標から除外するとの意向が伝えられました。出席委員からは大きな異論はなかっ
 たとのことです。

三、加減算の具体的な実施方法については4パターンが示されましたが、出席委員からは加算に対す
 る反対意見や慎重な意見が多く、引き続き議論を続けることとなりました。(なお、4パターンの
 説明は省略させていただきます。)

四、加減算の実際の適用時期については、24年度の実績が確定するのが26年度秋頃となることか
 ら、25年度の確定後期高齢者支援金の精算(27年度)に反映させるとの考えが示されました。

 

 社会保障・税の共通番号(マイナンバー)導入に向けた動きについて 1  H24. 2. 2

 社会保障と税に関する情報を管理する共通番号「マイナンバー」導入に向け、その実務を担う新たな公的機関の設置案が通常国会に提出されるようです。報道によれば新機関の名称は「地方公共団体情報システム機構」とし、住民基本台帳ネットワークを運営する財団法人の業務を吸収するようです。社会保障と税の一体改革の陰に隠れてあまり議論の対象となりませんでしたが、昨年の6月30日の政府・与党社会保障改革検討本部において「社会保障・税番号大綱」が決定されています。その後、名称の一般公募により「マイナンバー」と決定されています。

 大綱では、その目的を「所得情報等を把握し社会保障や税の分野で活用」、「IT化を通じて適切な所得再配分制度の設計」、「低所得者対策」、「行政事務の効率化」、「国民の利便性向上」、「医学の進歩に資すること」としています。

 政府は広く国民の意見を聴くため、パブリックコメントに付したり、全国各地でシンポジウムを開催するなど行ってきたところでありますが、内閣府発表の世論調査結果は、「必要」と「どちらかと言えば必要」が計57.4%、「必要ではない」「どちらかと言えば必要ではない」が計27.3%であったものの、一方で、「内容を知らない」が41.5%もあり、知名度の低さが浮き彫りになりました。広く理解が得られるよう一層の情報提供が求められるところです。

 

 高額療養費改定と受診時100円上乗せ負担  H23.12.28

 医療費は患者の3割負担が原則ですが、高度な治療を受けた場合には月額百万円を超えることもあります。このため、1か月の月額自己負担額が高額になる場合、家計の負担を軽減するために一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される制度を高額療養費制度と言います(入院の場合は、事前に限度額適用認定証を受けることで病院窓口では上限額だけを支払えばよくなる制度があります)。また、治療が長期にわたる重病患者の負担軽減制度もあります。

 現在は被保険者の所得に応じて、低所得者(住民税非課税世帯)、一般(中所得者)、上位所得者(標準報酬月額53万円以上)の3段階の区分となっており、中所得者(年収約210万円から790万円)の場合、月間の上限額が8万円強に定められています。

 厚生労働省はこの中所得者層のなかでも、下位の所得者には負担感が増していると判断し、24年度の法改正を目指しています。 

 10月12日、厚労省は社会保証審議会医療保険部会に中所得者を三ランクに細分化し自己負担を軽減する案を提示。同時に、その財源を捻出するため、外来患者の窓口負担に一律100円を上乗せする「受診時定額上乗せ負担制度」の導入を提案しました。同部会では高額療養費制度の拡充に異論はありませんでしたが、窓口負担の上乗せ案については賛否が分かれ、両論併記の取りまとめとなりました。

 この100円上乗せ案に対しては、民主党内における反対意見が圧倒的多数を占めたことから、政府は導入を断念。社会保障・税一体改革素案骨子案を、「所要の財源を確保したうえで年収3百万円以下程度の低所得者に配慮した制度改正を引き続き検討すること」と修正いたしました。
この修正案は12月20日の関係5大臣会合において了承され、一体改革素案骨子が決定されました。

 

 平成24年度の診療報酬改定2  H23.12.26 

 報道によれば、12月21日に官房長官、財務相、厚生労働相が会談し、来年度の診療報酬を0.004%引き上げることで合意したとのことです。薬価部分で1.375%引き下げる一方で、本体部分(医師の報酬など)を1.379%引き上げるとの内容です。つまり、薬価引き下げで浮いてくる5千億円を本体部分に充当するだけでなく、若干の上乗せをするということなのです。

 前回お知らせした「提言型政策仕分け」における本体部分に関する意見(据え置き6人、抑制3人、引き上げ0人)と、それを予算編成で反映するよう指示するとの野田総理の発言はどうなったのでしょうか。

 この結果を受けて、当協会の小林理事長は、「加入者の賃金が一貫して下がり続けており、大変厳しい経済環境にある中小零細企業のことを考えると、決定は納得できない。保険料率が10%を超えないようマイナス改定を要請してきた協会けんぽとしては大変残念というより他ありません」とコメントしています。

 なお、厚労省の22日付プレス・リリースによれば、本体+0.138%、薬価等▲0.138%、全体+0.00%と発表されています。

 

 70歳から74歳の高齢者の窓口負担  H23.12.22

   現在、医療費の窓口負担は、0歳~小学校就学前の乳幼児(2割)、小学生~70歳未満(3割)、70歳以上(1割)となっています。法律上は70歳以上75歳未満は2割負担と定められていますが、毎年約2千億円の予算を投入して1割負担に据え置かれているのです。

 これに対して、世代間に不公平が生じているとの指摘もあり、高齢世代・若年世代にとって公平で納得のいく負担を目指す見地から、法律の定める2割負担とすることが社会保障改革案に盛り込まれました。

  社会保障審議会医療保険部会における議論は、当協会の小林理事長をはじめとして多くの委員が、法定の2割に戻すことや公費の拡充等を求めましたが、最終的には、「速やかに法定の2割に戻すことが適当とする意見が多かった」ものの、「1割のままとすべきとの意見もあった」と整理されました。

  一方、民主党厚労部門会議医療介護ワーキングチームは、負担を1割に据え置く特例措置を継続するよう取りまとめ、党に提出しました。

政府は党の意向を受けて改革素案骨子を修正し、民主党の社会保障と税の一体改革調査会は12月16日にこれを了承しました。これにより、24年度も現行の1割負担が維持されることとなり、そのための予算措置がなされることになりました。

世代間の不公平感が解消されない残念な結果と言わざるを得ません。

 

 社会保障と税の一体改革  H23.12.13

 平成22年10月、菅首相のもと、政府・与党社会保障改革検討本部が設置され、社会保障と税の一体改革に関する検討が開始されました。以来、同年11月から12月にかけて有識者会議を開催、本年2月から6月にかけては集中検討会議が開催されてきました。この間、与党においても改革調査会等に置いて検討され、これらの議論を経て6月30日には改革検討本部で具体的な方向について取りまとめられました。

 以下に医療に関して取りまとめられた改革案を列挙しますが、それぞれのテーマについては、具体案を厚生労働省が作成し各種審議会や民主党内での議論を経て、23年度中をメドに社会保障・税一体改革の素案を取りまとめる予定であります。素案のうち、年金・医療・介護などの社会保障改革については12月15日までには骨子の策定を目指すとのことです。

一、 医療提供体制の効率化・重点化と機能強化では

 ① 病院・病床機能の分化・強化と連携

 ② 在宅医療の充実等

 ③ 平均在院日数の減少等

 ④ 外来受診の適正化等

 ⑤ 情報通信技術の活用による重複受診・重複検査・過剰な薬剤投与等の削減

ニ、保険者機能を通じたセーフティネット機能の強化・給付の重点化、逆進性対策として

 ① 短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大

 ② 長期高額医療への対応、高額療養費所得区分の見直しによる負担軽減等

 ③ 受診時定額負担等

 ④ ジェネリックの更なる使用促進

 ⑤ 医薬品の患者負担の見直し

 ⑥ 高齢者医療費の支援金の総報酬割導入

 ⑦ 高齢者の自己負担割合の見直し等

 なお、5月の厚労省案に記載されていた「協会けんぽの財政基盤の安定化・強化」の文言が削除されています。このため、国庫補助率の引き上げに加えて、保険料率アップの最大要因である高齢者支援金等については公費の拡充をはじめとした見直しを強く要望しています。

 

 平成24年度の診療報酬改定1  H23.12.9

 診療報酬とは患者や健康保険が病院や薬局に支払う報酬の公定価格で、医療機関への報酬である「本体部分」と薬や医療材料の「薬価部分」とから構成されます。診療報酬が仮に1%のプラス改定になれば協会けんぽの保険料率は0.09%の引き上げとなります。これまで2年に1度の改定を行っており、来年が改定の年にあたります。 

 9月中旬、小宮山厚生労働大臣の「少しでもプラスに」との発言を皮切りに、10月26日には厚労省の方向性を示す原案が社会保障審議会医療保険部会に提示され、本格的な検討がスタートしました。審議会の委員である当協会の小林理事長は、「ここ10年ほぼ一貫して賃金が下がり続けている協会けんぽ被保険者の現状や、保険料率が10%を超えようという大変な状況のなかで、患者負担や保険料負担の増加につながる改定には反対である」と発言を続けてまいりました。

 さらに11月11日には、中央社会保険医療協議会(中医協)の支払い側6団体(注)が同様の趣旨で厚生労働大臣に対して、「平成24年度診療報酬改定に関する要請書」を提出しています。25日の中医協総会では、小林理事長を含む支払側委員7名が「診療報酬全体の引き上げは国民の理解と納得が得られない」との意見を提出しましたが、診療側委員は「引き上げ」を求め、意見は平行線をたどりました。その結果、12月7日には厚生労働大臣に対し賃金・物価動向がマイナスで推移していることや、薬価や材料価格が実態と大きく乖離していることを指摘し、かつ、提言型政策仕分けの意見を承知しているとしつつ、両論併記の意見書が提出されました。日経新聞の社説によれば、「総枠を減額改定しないよう示唆する意見書」との評であります。

 また、11月22日に開催された「提言型政策仕分け」において、医療がテーマに取り上げられました。診療報酬本体については委員9人のうち、「据え置き」とする意見が6人、「抑制」とする意見が3人となり、引き上げを支持する意見はありませんでした。仕分け会場を視察していた野田首相は、「予算編成で反映していくことを改めて各閣僚に指示したい」と発言しています。

 一方、30日の民主党厚生労働部門会議では、「社会保障と税の一体改革大綱」に向けて医療・介護作業チームが取りまとめた「ネット(診療報酬全体)でプラスを目指すべき」とする報告書案が了承されています。

  12月2日に報告された薬価調査では、割高の薬価を実際の取引価格に近づければ、薬価を6%引き下げ、5,000億円の薬剤費が節約できることがわかりました。新聞報道によれば、厚労省ではこの5,000億円を本体部分に回したい(診療報酬全体で据え置き)と考え、財務省は介護報酬に投入したい(診療報酬全体はマイナス)と考えている模様であり、年末の来年度予算案作成から目が離せない状況が続きそうです。

 

(注)中医協支払い側6団体・・・健康保険組合連合会、国民健康保険中央会、全日本海員組合、
                経団連、連合、協会けんぽ