「Salud!えひめ」協会けんぽ愛媛支部メールマガジン<2011年10月17日号>通巻:第22号

「Salud(サルー)」とはスペイン語で「健康」「乾杯」を意味する言葉です。



目次

前口上

協会けんぽ愛媛支部からのお知らせ

「ドクターすなみの脳のおはなし」 第8回 認知症に効く薬


 

前口上   

 朝夕は次第に肌寒く感じるようになり、豊かで色鮮やかな秋まであと一歩、という時期になってまいりました。秋は食べ物もおいしく、運動をするにも最適の季節です。これを機に、健全な生活習慣を心がけ、より一層の健康づくりに努めていきませんか。愛媛支部もお手伝いいたします。  

 このメールマガジンでは、協会けんぽ愛媛支部がその時々に実施している事業をご案内するとともに、皆様の健康づくりに役立つコラムをあわせてお届けしております。 

 皆様のご期待に添えるように内容を随時ブラッシュアップしてまいりますので、是非ご意見等賜りますようお願い申し上げます。

 

協会けんぽ愛媛支部からのお知らせ 

1. 東日本大震災関連情報
 被災された加入者の皆様が平成23年7月1日以降に医療機関等を受診される際の取扱いが、下記の通り変更となっております。 

・医療機関等で保険診療を受ける際には、被災者の方でも健康保険証の提示が必要です。
・医療機関等を受診した際の窓口負担の免除を受けるためには、協会けんぽが発行した「一部負担金等免除証明書」の提示
 が必要です。
・「一部負担金等免除証明書」の交付を受けた方は、生活習慣病予防健診や特定保健指導を受けた際に支払った自己負担額
 も、申請により還付されます。

 なお、今後、情報の追加がありえますので、詳細については当協会ホームページ(下記参照)にてご確認願います。
 
http://merumaga-kanri.kyoukaikenpo.or.jp/cl/N03/2201000293/20463/2741224

 

2. 振り込め詐欺にご注意ください!
 全国健康保険協会や年金事務所(旧:社会保険事務所)または市役所職員を装った不審電話が発生しています。全国健康保険協会から、医療費や任意継続保険料等の還付金について、電話で直接、ATMの操作をお願いすることはありません。不審な電話があった場合は、その場で対応せず、いったん電話をお切りいただき、すぐに、全国健康保険協会愛媛支部(089-947-2100)または、最寄りの警察署へお問い合わせください。

 

3. 生活習慣病予防健診対象者データのダウンロードサービスについて
 生活習慣病予防健診のお申し込みにあたり、健診の対象者データとExcelVBAツールOpti(オプティ)をダウンロードいただき、お客様自らが協会支部に申し込むデータ・申込書を作成できるサービスを実施しております。詳細につきましては下記よりご覧ください。
 
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/13,65865,109,166.html
注1)上記サービスを利用するには、事前にIDを取得する必要があります。このIDを一度取得すれば、来年度以降も対象
  者データを継続してダウンロードできます。
注2)提供データは、各年度中に35歳以上となられる方を抽出のうえ作成しております。なお、平成23年度版のデータ提供
  は、本年12月までとしておりますので、よろしくご留意のほどお願い申し上げます。

 

4. 「識者の声」のご案内
 愛媛県内の医療現場等の各方面でご活躍中の有識者の方から、ご専門の分野に係る意見・提言をいただき、協会けんぽ愛媛支部ホームページをキーステーションに発信してまいります。現在、下記の皆様ご寄稿いただいております。 

 「愛媛大学医学部附属病院医療福祉支援センター長 櫃本 真聿 先生」
 「済生会松山病院副院長 宮岡 弘明 先生」
 「医療法人原瀬歯科医院理事長 原瀬 忠広 先生」
 「松山市民病院脳神経外科部長 角南 典生 先生」
 詳細は下記よりご覧ください。
 
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/13,61201,109,670.html

 

5. 目の不自由な方へ点字シールをお配りします
 健康保険証を他のカードと区別しやすくするため、「ホケンショー」と印字した点字シールをご要望に応じてお配りします。詳細は下記よりご確認ください。
 
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/13,57322,109,166.html

 

6. 事業主の皆様へ 「保険料の期日内納付のお願い」
 事業所の適用や保険料の徴収業務は、日本年金機構において厚生年金業務と一体的に行い、保険給付に必要な財源は厚生労働省から協会に交付金として交付されております。
 健康保険制度は、健康保険料と国からの補助金を基に、会社などに勤務されている方及びそのご家族の医療給付や手当金などを支給して、生活を安定させることを目的にした「社会保険」制度です。
 日本年金機構から納付額を毎月お知らせしている健康保険料・厚生年金保険料について、納付期限までに納めていだけますようよろしくお願いいたします。


 ● ドクターすなみの脳のおはなし 第8回「認知症に効く薬」 

 2011年はわが国の認知症治療において画期的な年になるかもしれません。なぜなら今までドネペジル(商品名アリセプト)1剤しかなかったのが、今年は新たに3剤が加わることとなったのです。 

 アルツハイマー病の第1号が報告されたのは1906年Alois Alzheimer博士によってでした。しかし彼が生きている間には問題にされることはなく、彼の死後、アルツハイマー病の名前が有名となりました。1980年代からアルツハイマー病の研究は盛んになってきました。 
 記憶に関する神経伝達物質であるアセチルコリンが減っていくことが認知症の原因の1つと考えられ、アセチルコリンを分解する酵素を阻害する薬がアリセプトです。新たに加わったガランタミン錠(商品名レミニール)とリバスチグミン経皮吸収型製剤(商品名イクセロンパッチ、リバスタッチパッチ)の2つの新薬は従来のアリセプトと同じ系列の薬です。同じ薬理作用であり併用はできませんが、それぞれ薬効は違っていてアリセプトでは効果が薄い患者さんは使ってみる価値があると思います。 
 一方、メマンチン錠(商品名メマリー)はNMDA受容体拮抗薬であり、前記3剤とは薬理作用が異なり、併用も可能です。ただし中等症から重症のアルツハイマー型認知症にのみ使用可能となっています。

 

1)アリセプト
 最も世界的にも広く使用されている実績のある、コリンエステラーゼ阻害剤です。
この薬は現時点においても、他の2種のコリンエステラーゼ阻害剤に比して、その効果に遜色はなく、かつ最も副作用のような有害事象の少ない薬剤として、その評価はほぼ確立しています。 

 剤型は錠剤に加えて、水の要らないOD錠と、嚥下の難しい高齢者のための、ゼリータイプのものの3種類があります。その使用は1日3mgから開始されて5mgが維持量となり、重症の事例には10㎎まで増量が認められています。
 この薬の副作用は、投与初期の吐き気などの消化器症状と、これも初期に多い焦燥感や興奮などの精神症状、そして、継続した場合の心臓に対する影響が、その主なものです。 
 投与初期の症状は、脳内のアセチルコリンが急上昇するためと思われ、消化器症状には胃腸に対する副交感神経の緊張も、一部は影響していると思われます。心臓への影響はやはり副交感神経の刺激によるもので、徐脈性の不整脈などの影響で、眩暈や動悸などが生じます。従って、この薬の使用時には、事前の心電図のチェックが必要ですし、脈の遅めな方は、より注意が必要です。
 

2)レミニール
 この薬もコリンエステラーゼ阻害剤で、その意味ではアリセプトと大きな差はありません。ただ、ニコチン性アセチルコリン受容体の刺激作用を併せ持つという特徴があります。つまり、脳内アセチルコリンを、その分解酵素を阻害することにより増やすと共に、その働きも増強するということになります。 

3)イクセロンパッチ・リバスタッチパッチ
 この薬はアリセプトに次いでアメリカでは発売されたコリンエステラーゼ阻害剤ですが、日本での発売は大きく遅れ、「貼り薬」という剤型のみで、今年の8月に発売されました。この薬の一番のポイントは、アセチルコリンエステラーゼの阻害作用と共に、ブチリルコリンエステラーゼの阻害作用を共に持っているということです。
 早期のアルツハイマー型認知症では認知機能の低下を遅らせるというデータがあり、早期の認知症に限ってはアリセプトより有用性が高いのではという意見もあります。貼り薬には患者さんによっては、薬を持続し易いというメリットがあり、貼り薬でコンプライアンスの改善が期待出来るケースでは、その変更を考慮する必要があると思います。
 

4)メマリー
 この薬は現在唯一のコリンエステラーゼ阻害作用とは別箇の作用を持つアルツハイマー型認知症治療薬です。 
 アルツハイマー型認知症ではアセチルコリンの低下と共に、もう1つの神経伝達物質であるグルタミン酸の濃度上昇があり、グルタミン酸によるその受容体の過剰な刺激が、神経細胞障害や認知機能障害の1つの要因なのではないかという仮説があります。 
 メマンチンはグルタミン酸の受容体に拮抗することにより、その受容体の過剰な刺激を改善しようという働きがあります。この薬は単独使用よりコリンエステラーゼ阻害剤との併用が想定された薬剤です。

 

 それぞれ特徴がありますので、主治医と相談の上、これら4剤をうまく使い分けることができれば効果があると考えます。 
 アルツハイマー病の症状としては中核症状と周辺症状に分けられ、中核症状は記憶障害、見当識障害、判断力低下などをいい、新たな記憶をとどめることが困難となり、ここがどこで、今がいつなのかがわからなくなり、計画を立てたり、順序立ててものごとを判断することが難しくなります。残念ながら中核症状を治すことはできません。 
 周辺症状とは、妄想・睡眠障害・不潔行為・徘徊・暴力・不安などの症状で薬剤などを用いて軽くすることが可能です。しかしいずれも対症療法であって脳の神経細胞の変性脱落を止め、病状の進行を抑制する根本的な治療ではありません。 
 しかし、わが国をはじめ世界の製薬会社ではアルツハイマー病の真の治療薬の開発研究を目指しており、すでにその可能性を秘めた新薬の臨床試験が始まっています。原因の1つと考えられる脳内に過剰に沈着したβアミロイドたんぱくを取り除くワクチンやタウたんぱくの凝集を抑制する薬などが開発段階にあります。 
 エイズをはじめ原因がわかった病気は必ず近い将来、根本的な治療法が見つかるはずです。もうそこまでアルツハイマー病が根治できる時代がやってきていると思います。
                        
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松山市民病院脳神経外科部長 角南 典生(すなみのりお) 先生 

略歴
昭和51年3月   岡山大学医学部卒
昭和59年8月   日本脳神経外科学会専門医
昭和59年12月  医学博士
昭和60年10月  病理解剖認定医
平成元年1月  日本体育協会公認スポーツドクター
平成15年4月  松山市脳卒中対策協議会委員
   〃   松山看護専門学校非常勤講師
平成16年3月  聖カタリナ学園衛生看護専攻科非常勤講師
平成19年6月  愛媛新聞社より著書「Drすなみの脳のおはなし-頭痛から脳卒中まで-」発刊
平成20年4月  南海放送ラジオ「ドクター角南のオー脳!」スタート
平成20年11月  愛媛新聞社より第2弾「Drすなみのかしこい患者学」発刊
平成23年6月    愛媛新聞社より第3弾「脳のおはなしPART2-頭の中の小宇宙-」発刊 

松山市脳卒中対策協議会委員となってから、「脳卒中の予防」の啓発に力を入れ、講演・ラジオ出演など引き受け、微力ではありますが活動をしています。
公民館を中心に土日および平日の夜、講演を行っています。
「脳のおはなし」は丸三書店で発売から連続11週、売り上げベストテンに入り、現在第5刷。第2弾の「かしこい患者学」も増刷となっています。
2008年4月から毎週日曜日午後3時「松沢はつみの南海クラシックス」の中で、15分間「ドクターすなみのオー脳!」というコーナーを設けていただき、脳の科学・脳の医学について楽しくお話させていただいております。 


 ■発行 全国健康保険協会(協会けんぽ)愛媛支部 

  〒790-8546 松山市三番町7-1-21ジブラルタ生命松山ビル5階

  TEL 089-947-2100(代表)

  (愛媛支部ホームページ)http://www.kyoukaikenpo.or.jp/13,0,109.htm